第161節 共有 (共闘討伐編16)

その映像は現在の状況を理解するには十分なものだった。

 「これは…本当に今起きていることなんだな?」

「ええ…信じられないと思いますが、映っているのは事実であり、現実です。」

 映像に映っていたのは今回の標的の組織と思われる集団が武人でもなければ、警官でもない一般人が全く身に覚えのないことをあてつけのように言われ、集団で1人をリンチしており、それは意識がなくなり、全身が変形する程の酷いという単語さえも形容できているとは思えない何かだった。

 「そうか…これは酷いな、国内のいじめの方がまだ幾分かマシだと思えるレベルで。」

 「ですよね…、そんな奴等が集団で国内に入り込もうとしているのです。」

 「なら、絶対に阻止せねばな。」

「はい。では、今日はこれで。明日、他の皆様を大広間に呼んできてください。そこで、本格的に作戦を立てましょう。」

「分かった、では失礼する。」

翌日、大広間。

 ここには九、士、執事の爺さんの3人の他に、現在残っている九州支部所属の人間の中で実力のある者10人と龍牙の指示によって関西支部から送られた援軍の中から選りすぐりの5人の合計18人がいる。

  執事が口火を切った。

「今回説明を行わせていただく、集と申します。そして、説明を始める前に言っておきますが、士さんには説明してありますが、質問等聞きたいことがある場合は私、若しくは九様にお願い致します。」

 士を含め、大広間にいる全員が頷いた。

「それでは…、説明を始めます。こちらをご覧下さい。」

 執事は大広間の巨大スクリーンに昨日士に見せたモノと同じ映像を映した。

 士以外の初見の者達は絶句した…。

映像に最初に反応したのは桜だ。

 「…あの…、九支部長…、この映像は事実なのですか…?」

 「…事実ですよ。」

「…し、信じられません。」と、桜はポツリと呟いた。

 「では…、理解していただいたところで、説明を続けます。」

 「会議中失礼します!報告がございます。」

「…言って下さい。」

「…はい、本部が襲撃されたとの情報が入りました!」

  この報告は本広間にいた者達全員に衝撃が走った。

 「…それは間違いないのか?」

「は、はい。凍士様からの情報なので確かなものかと…。」

 「し、失礼します!敵の棟梁と思われる男から支部長に電話を代われと…。」

「…分かった、代わろう。だが…折角だ、この大広間にあるスピーカーに繋げるんだ。」

「承知しました。」

報告に来た部下は一通り言われた準備を整えてから電話を九と変わった。

 「…聞こえるかな?…、聞こえているようだね。では、話に入ろう…ズバリ!君達、私達の仲間にならないか?」


 

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