第153節 修行道中2 (共闘討伐編8)

「そうか…なら、死んでもらうしかないな。」

 ガタイのいい男の部下の1人が童の首を後ろからナイフで掻っ切ろうとしてきた。

 が、それを悪意を感知したことでギリギリ、間一髪回避した。

 癒天も回避したが、首をナイフが掠り、クビから僅かに首筋を伝うように出血していた。

 「…チッ、避けられたか。だが、問題ない。」

 ガタイのいい男が手で合図すると外人の部下が童と癒天に襲いかかってきた。

 (…はぁ、これじゃあ、とても修行にはならなさそうだな。)

 童は能力を使わずに戦うことにした。

「お前、この人数を1人で相手にするってのか?」

「そうだと言っている。その言い方、いかにも小物って感じだな。」

 童の言葉を聞いて8人が切れて襲いかかってきた。

 まず、部下2人が童の左右から同時にパンチを繰り出したが、それをしゃがんで回避し、そのまま右足を軸に回転し、左足で部下2人の足を引っかけることで体勢を崩し起き上がったところを腹筋にめり込むようなパンチを2人に叩き込み、2人は悶絶した後、気絶。

 させたところで童は敢えて全身の力を眼抜いて、棒立ち状態になった。

 すると、1人がゆっくりと近づいて奇襲を仕掛けてきたのを逆手に取り、パンチを繰り出してきたが、それを躱したのを見て他の残りがイケると思ったのか流れるような連携攻撃を仕掛けてきた。

 さすがに連携攻撃、それも複数人によるヒットアンドアウェイの攻撃だとカウンターによる反撃も難しく、その中で奇襲を返り討ちにした部下がゆらりと起き上がると何やら様子が先程までと違っていた。

 聞いていたものとも違っていた。

聞いていたものでは、自我を失い、暴走しても本人の意思のようなものを感じたらしいが、コレにはそんなものは一切感じない上に、そこには只々真っ黒な力のみが感じ取ることができる。

 そして、様子の変わった部下は自分の仲間、上司関係なく襲い始めた。

 ガタイの良い男はどうにか戦えていたが、部下達は全く歯が立たずに戦闘不能になってしまった。

 様子の変わった部下は人を戦闘不能にする度に角の様な尖った何かが額から出てきた。

 今戦っているガタイのいい男も戦えてはいるものの、全身のあらゆるところから出血しており、体が動いているのが不思議な程だ。

 ガタイのいい男はどういう力なのかは定かではないが何かしらの能力者であるのは間違いないと、それは童の目から見ても明らかだった。

 暫くすると体力が切れたのか、様子の変わった部下に角のようなものはなくなり、その場に倒れた。

 因みに癒天は2人の部下を相手に戦っていたが途中で様子の変わった部下にあっさりと倒された。

 それから目一杯時間を使って歩を進め、

夜の8時頃には愛知県に入った。

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