第145節 進学と新たな噂 (侵犯編アフター2)

「いえ!今回のホラウの実験結果の報告を踏まえて、汎用性を高める実験を行う為にも我々だけで対応すべきです!」

 「悪いけど、今回はだめだ。」

「…!何故ですか?」

「考えてみなさい。不本意だけど、あいつが手を焼くような敵がいた場合オレ達だけだとボスが出ないといけなくなるだろ?」

「ええ…そうですね。…!」

「分かったみたいだね。そう、マライが手を焼くような者がいた場合僕も前線に出て戦うことになる。つまり、照くん達に僕の今現在の戦闘力がほぼ確実にバレる。」

「だから、外敵駆除の為にあの者達と協力して我々の力をできる限り隠してあたりたい…というわけですね?」

 「そういうこと♪解ってくれると思っていたよ。」

 「それじゃあ、すべきことも決まったことだし…まずはあそこに行こうか。」

「はい」

        ・

俺は中学を卒業し、今は入学式の会場に向かって電車に乗っているところだ。

 だが、車内は少し騒々しい感じだ。

「…ねえ、あまり強そうじゃないけど、本当にあの子が…?」

「そうらしいわ。あの子が例の…」

「…とても強そうには見えないけど…」

「…おい、あいつが…」

「マジかよ…あいつが…?まだ、ガキじゃねぇか。俺でも勝てそうだぜ…。」

 なんだか良く分からんが、何か一つの話題で俺が乗っていた車両は持ちきりのようだった。

 俺は電車を乗り換え、目的地の最寄駅に着いた。

 乗り換えてからは流石に静かで俺に関わる話もなく、安心した。

 因みに市からの表彰の話は丁重にお断りをした。

 俺はできる限り表立って戦いたくないし、目立ちたくもないのでお断りさせてもらった。

 市長さんをはじめ、役所の人達は残念がっていたが俺はそのまま役所を後にして、今に至るというわけだ。

 (にしても…人前で堂々と戦ったのは学校が襲撃された時だけのはず…何故、学校が関係なさそうな人間にまで噂されているんだ…?)

「…不思議そうな顔をしていますね。」

「そりゃ、そうだろ。俺が堂々と人前で戦ったのは学校の時だけなのに俺の噂がこんなに広がっているんだから不思議に思うは当然だろ?」

 「ああ、それはですね…」

「なるほどな…、良かれと思って俺のことを知ってもらおうと、か…」

「はい。なので、あまり強くは…」

「ああ、言えないな…」

等と彩羅と話していると会場に着いた。

 会場の前にはガタイの良い男性複数人が其々の入口の前に2人ずつおりとても固そうだ。

 会場に入るなり軽く感知したが、男女合計で軽く3桁を超える人数が常時巡回している超厳戒態勢だった。

 そして、周りを見回すと顔見知り等同じ地元らしき者がいたこともあり入学式の前後は少し騒々しかったが、入学式自体は何のトラブルもなく終了した。

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