第144節 密かに… (侵犯編アフター)

照の優しさと凍士の甘さによって命の火が灯せている女は殆ど思い通りにならない自分の体を癒しながら、数ヶ月をかけて関東某所にあるアジトへ戻り、自分の上司のいる部屋にノックをしてからゆっくりと部屋に入った。

 そこには福とネモが机を挟んで報告をしていたようだ。

 女が部屋に入ると福から質問された。

 「ホラウ、実験結果はどうだった…?」

「成功だと考えています。」

「…考えている、か。何故成功だと言い切らないんだ…?」

 「私は実験としてあの力を使ったのですが…結局、勝てなかったので。」

「僕は元より…、ネモやケイジュも別に気にしてないよ。」

 ネモは福の言葉に合槌を打って賛同している。

「そうですか…。」

「…それで、成果はどれくらいだったのか報告してくれ。」

 「私は当初、あの少年に手も足も出せない程圧倒されていたのですが、力を使うことで何とか食らいつけました。」

「…一応聞くがその少年の名前は…?」

「凍士、と言われていました。」

「そうか…。では、効果としてはうまくいけば、最低2倍以上戦闘能力を上昇させることができることが証明されたな。」

 「はい、これは想定以上です。」

「…そうか。それは嬉しい実験結果だな」

ここでケイジュが部下を連れて慌てた様子で部屋に入って来た。

 「ボス!今すぐ、アイツもここに呼んでくれ!緊急会議を開いて欲しい!」

「どうした…⁈そんなに慌てて。」

ケイジュは部屋にいた者全員に事細かに自分が聞いたことを説明した。

        ・

「なるほどね。確かに緊急だね…よし!会議を開こう。けど、マライは外して行う」

「ええ、それが無難かと…」

「オレは参加させるべきだと思うが…」

「いや、駄目だ。」

「何故だ…?アイツのことだ、きっと暴れるぞ。」

「なら、それはそれとしてこのままできる限り駆除してもらおう」

 「…そういうことなら…」

「それじゃ、ケイジュの賛同も得られたことだし…このまま始めようか。」

 「…えっ!この場で、ですか…?」

「…そうだけど…、何か変なこと言ってるかな…?」

「いえ…、早いのは構わないのですが…あまりにも急なことでしたので…。」

 「…まぁ、それはしょうがないけど、諦めてくれ。」

 「はい…。」

 部屋に簡易的ではあるものの、5角形の卓と5つの椅子が配置され、そこにランダムに四人が座った。

「さて…と。それじゃあ、緊急会議を始めようか。ケイジュ、報告を頼む。」

「ああ、オレが部下から聞いたのは北の組織がこの国を裏から侵略してきている、と聞いたそしてそれはマウイとその部下達が食い止めているそうだ。」

 「成程…、分かった。不本意ではあるものの、奴等と共闘して更なる腐敗が進む前に駆除に乗り出すとするとしよう。」

 「いえ、今回のホラウからの実験結果の報告を踏まえて、汎用性を高める実験を行う為にも我々だけで対応すべきです!」

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