第143節 合流 (侵犯編51)
「わ、私の負け、、だわ。」
女の出血はまだ止まっていないが、少なくなりつつある。
「ほう…随分と素直だな。それで、虫利の洗脳は解くんだよな…⁈」
「ええ、勿論。…今、解いたわ。」
ここで後方で通路を塞いでいた壁が、『ジュウウウウ…』という音が出そうな程の高音で溶けて、その溶けたところから照達が入ってきた。
「…凍士、この女がここのトップと考えて良いのか…?」
「はい、それで良いと思います。」
「そうか、分かった。お前は親友を連れ戻して来い。」
「はい!」
俺は伏した状態からガクガクと震えながら立っている女に問いかけた。
「さて…聞くが、俺が誰なのかは聞かされているだろうから、直球で聞こう。お前の上司は誰だ…?」
「私に上司がいるとすれば貴方の想像通りの人よ。」
「そうか…さてと。この場で俺に処刑されるか、それともそのボロボロな体で戻るのか、選ばせてやろう。」
「…敵を殺さないなんて、随分優しいのね。」
「ま、態々あいつが殺さずに倒したからな、俺が手を下しては意味がないだけというだけだ。」
「そう…なら、私はその言葉に甘えさせてもらうわ。」
女は体を左右に揺らしながら出てきたラボへ向かい、撤退して行った…。
そして…入れ替わりで虫利を連れて凍士が照達のところに戻ってきた。
「今の女は…」
「ああ、お前が倒した女だ。」と言って照は凍士を手招きで自分の近くに来るように伝え、近くに凍士が来ると優しく凍士の頭を撫でた。
撫でられた凍士はとても恥ずかしそうな顔をしているが、同時にとても嬉しそうな顔をしているようにも見えた。
周りの人間はとても微笑ましく2人を見ていた。
「し、師匠…この状態はとても恥ずかしいので…。」
「…そうか、すまない。」
照は凍士の頭から手を放した。
「さて、少し我慢してくれよ…。」
照は左手の人差し指を高音にし、小さな火を起こして鉄で拘束されているタエ達を解放した。
「さてと…。俺達もここから出よう。」
照達は一まとまりで来た時と同じルートを使って、途中で龍牙を回収して施設から出た。
・
「…無事……な、ようだな。」
と照の呟きにかなり回復した様子の火花が答えた。
「ええ、特に危険はなかったわ。けれど、北方の人間らしき人影が私達を遠目から見ていたわ。」
「そうか…、何か敵意のようなモノは感じたか…?」
「いえ、感じなかったわ。」
「そうか…。虫利も救出出来たことだし、戻ろうか。」
「ええ、戻りましょう。」
その後俺達は其々の場所に戻った。
俺と一緒に祖父母の家に来た面々と祖父母に奈良に1泊2日の観光に行ってきたと説明をしてかなり心配していた祖父母に納得してもらい、他の面々も其々の親や関係者に素直に話したり、俺達と同じく観光と説明して納得してもらったそうだ。
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