第139節 火花VSネモ (侵犯編47)

「それは、どうも。」

 火花はゆっくりと少しずつエネルギーを高め、その間も女は殴りや蹴り等様々な攻撃を火花に仕掛けたが最小限の動きで直撃を避け、右腕や腹部、左太腿等体の一部から切り傷のような傷口から浅く、若干ではあるものの、出血している。

 「わ、私の攻撃が効いていないなんて…信じられないわ!」

 「…そうかしら?私からすれば当然の結果だけど。」

「貴方はあの馬鹿に殺されかけたのでしょう?だったら、何故私の攻撃が効いていないのよっ‼︎」

 「…そんなに不思議…?」

「ええ!確かに私はアイツより弱いわ、その自覚もある!だけど、そんなにキョトンとした顔をされる程軟弱な攻撃をしてはいない筈よ!」

「…折角だから、正直に言ってあげる。貴方達は最高幹部なのでしょう…?だとしたら弱すぎるわ。回避に徹さずとも直撃を回避するのは簡単なのよ。」

 「…ッ。貴方、私を舐めているわね?」

「そんなことはないわ。ただ、事実を述べているだけよ…?」

 女も火花の言葉は事実だと解っているが、最高幹部として誇りを持っていた女にとってそれは耐えられぬ侮辱だった。

 「…そう。なら、もっと強く行こうかしらね…。」

女は薄紫の光を両拳に集約し、両拳に刃物のような尖った形の物を細かく形成して纏った。

 「…へえ。流石は最高幹部ね…。なら、私も答えないとね…!」

 (…!今、私のことを最高幹部って言ったわよね?やはりあのネズミ…私達の情報をこいつらに渡していたみたいね。)

 火花は高めた熱エネルギーをオレンジの光として放出し、両手を籠手の形に集約・形成した。

 「…それは…?」

「ああ、これね。これは…そうね…名前をつけるなら、炎熱手…かしらね。それがどうかした…?」

「…いえ、これは楽しめそうね。」

「ええ、私もよ。さ、続きを始めましょうか。」

 2人は飛び上がり、壁が凹む程力強く壁を蹴り、スピードが上乗せされたパンチが交際して、互いに頬から出血した。

 「…貴方、やるわね。まだ、強くなれるのかしら…?」

「ええ、当然でしょう?けれど、私はここで死ぬつまりはないわ。そうそう、まだ名乗っていなかったわね。私の名はネモ、組織の最高幹部よ。」

 「…私も名乗らせていただくわ。私は火花、貴方と立場としては同じよ。」

 2人は互いに名乗り合ったあと、戦闘を再開した。

 再開してからは蹴りや殴り等の攻撃一発一発が加速度的に鋭く、コンパクトになっていきその度に2人の戦いは激しさを増して行った。

 そして、2人が戦闘を初めてから暫く経ち、2人の身体は全身から出血し、その傷によってボロボロだが、出血はしていない。

 「…分かってはいたけれど、貴方も超人なのね…。」

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