第138節 決着と憂さ晴らし (侵犯編46)

2人は血反吐を吐きながらも最後の力を振り絞り、何っとか崩壊した瓦礫の中から這い出た。

 のだが…瓦礫の中から這い出たことで安心したのか、床に伏せたまま力尽き、龍牙からすれば不本意な決着となってしまった。

 激闘を制し不本意な形ではあるものの、龍牙は勝利した。

 そして…

 (感謝するよ、タイト。君と戦ったことで僕は戦い方の幅が広がった、ありがとう。)

 と心の中でタイトに感謝を述べた後、龍牙はそのまま床に倒れ伏して身体の修復と回復に努めた。

         ・

時間を少し遡り、凍士達と別れた火花は現れた女に見覚えがあったので、自分の記憶を遡り、記憶と感覚の擦り合わせをしていた。

 (この女…何処かで見た筈なんだけど、何処だったかしら…?)

 「ごめんなさい…。貴方と何処かであったかしら…?」

 「残念だわ、忘れられているなんて。まぁ…私はあの方と一緒にいたのだからそれは致し方ないわね。」

 「あの方…?」

「そう…貴方達にもあの方の存在は強く印象に残っているはずよ…?」

「…印象に…?…!あの時、あの男と一緒にいた…‼︎」

「…思い出してもらえた見たいね。」

「貴方…家の弟を拐った奴の上司なの?」

 「…今回のことに私は関わっていないわ…」

「そう…貴方は関係ないのね…だけど、貴方も同じ組織の人間なのでしょう?」

 「だとしたら…?」

「悪いけれど…貴方を相手に憂さ晴らしさせてもらうわ…!」

 「丁度いいわ。私も貴方の実力を確かめさせてもらうわ…!」

 「貴女はあの男より…弱いわね。」

「…よく分かったわね。でも私も一応貴方達のところに襲撃に行った馬鹿と同格なのよ…?」

「そう…。ならその位に相応しい実力であって欲しいわね…」

 「統合(インテグト)…」とぼそりと女が言うと女の身体は薄紫色に発光し、その光は収束して薄紫色のやや薄い鎧を形成し、それを装着した。

そのはとても滑らかな形をしており、色以外には何の特徴も無いが、色なのかどうかは分からないが、どこか狂気的な何かを感じさせる不思議な鎧だ。

 「…これが私の戦闘形態、怨念ノ鎧〈メイル・グラッジ〉。どう?この姿を見てもさっきと同じことが言えるかしら…?」

 「…確かにさっきの言葉は取り消す必要があるわね。けれど、貴方に敗ける気は一切ないわ!」

「へえ…言うじゃない。じゃあ、見せてもらおうかしら。その実力を…!」

 女は床を力強く蹴り、火花に向かって突進して来てその勢いのまま右手からコンパクトなアッパーを繰り出した!

 火花はそれを間一髪回避し、左手でカウンターを浴びせた。

 女は右頬から若干出血した。

 「…っ、やるじゃないか。」

「それは、どうも…。」

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