第137節 タイトの賭けと結果 (侵犯編45)

照達が施設に入り、凍士達のいる最奥部へ向かうことを決め、進み出した頃。

 龍牙はタイトとの戦闘が激化していた。

龍牙は顔を含めた全身のあらゆるところに浅くではあるものの、切り傷がついている。

 タイトは、顔の形が変形するほどに殴打による出血と痣、加えて全身から出血しており、胸部等一部は傷が幾度も重なり、深くなっていて、かなり深刻な状態であり、

出血と大量の吐血によって普通の人間なら、既に死んでいるであろうダメージを負っているが、超人は個人差はあるが、傷が治るという力を持っているので、今もタイトは立つことが出来ている。

 そして、武器庫内は凹みや溶解等の変形をしており、その全てが2人の戦闘によって起こったことなのだから、超人同士の戦闘はいかに異常であるかがよく分かるだろう…

 「…さすがにもう、飽きてきたからそろそろ終わりにしようか。」

「…それはこれからの攻撃で判断して欲しいね。」

 タイトは隠し持っていたライターで木箱が粉々に粉砕し、火薬がもろに出て、その火薬はかなりの量がかなりの密度で纏まっているところにライターの火をつけた。

 すると、武器庫内は今まで以上に緊張感のある時間が流れたがその間も龍牙は変形した武器庫の壁を使って跳ね回るように連続攻撃を仕掛けクリーンヒットとはいかずとも全て当たっていたが、ダメージは浅かった。

 そして…『ドカァーンッ』という爆発音と大量の煙と共に武器庫の扉が吹き飛び、凄まじい熱エネルギーが発生した。

 タイトは爆発によって発生した熱エネルギーを自らの体に取り込み、タイトの体の一部から体の中に溜め込めなくなった熱エネルギーが薄い煙となって漏れ出ている。

「煙熱集束…」

タイトの体から出ていた僅かな煙が止まり代わりに纏っていた鷲の鎧の色が赤黒く変色し、装甲も薄いものに変わった。

 タイトの変化に今まで以上の危機感を龍牙は感じた。

 (…よく分からないが、今までより明らかにやばい…!)

 2人がいる扉がなくなった武器庫に再び静かな時間が流れた。

 そして爆発の煙が晴れきったと同時に2人は『ドンッ…』という音が出そうな程、強く武器庫の床を蹴り、超高速で距離を一瞬のうちに詰め、互いの攻撃が直撃した。

 その時、何か大きな物が壊れるかのような強烈な炸裂音が施設全体的に響き渡り、不安定ではあるものの、崩壊していないのが不思議な程、武器庫は原型を留めていなかった。

 タイトは左横腹で完全に龍牙の攻撃によって抉り取られ、口からは大量に吐血しており、今にも出血多量で死にそうな状態になっている。

 龍牙は右横腹から腹部にかけて深く抉られており、タイトより若干少ないが同様に口から大量に吐血している。

 互いに大量の出血をしており、互いに放った攻撃の威力の高さを理解した。

 そして2人は今にも倒れそうな体でフラフラと振り返り、互いの顔を見た。

 その瞬間、不安定な状態だった武器庫が維持出来なくなり、崩壊した。

 2人は血反吐を吐きながらも最後の力を振り絞り、何っとか崩壊した瓦礫の中から這い出た。

 




 

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