第136節 参戦 (侵犯編44)
「お前の体は複製なんだろ?じゃあ、痛みはないよなあ…⁈」
「…ぐっ、ぐあっ」
何度も何度も繰り返し繰り返し左腕を掴み、掴む度に『ジュウウウウ…』という焼けるような音と共に爛れたそれは少しずつ全身に広がっていき、最終的に一部を除いて、体は全身が爛れてしまった。
「…き、貴様!」
右手を『ポキッ』と折った後…「…ん?」と反応した。
「貴様は人間なのか…⁈」
「どうだろうな…人ではあると思っているぞ…?」
「あり得ない!人間にこの体を爛れさせるなんてことは出来ない!」
「そうか…じゃあ、俺は何に見える?」
「…お、鬼に見える…!」
「そうか…俺は鬼か…なら、お前が鬼と呼ぶ俺から最初で最後の忠告だ。今すぐその体を捨てて、本体の下に戻れ…」
「く、貴様の言うことを聞くのは癪だがそうさせてもらおう。」
と言うと報鳥の複製された体はピタリと動かなくなった。
「…いなくなったようだな。」
「あの…」
「少し待て、今からこの複製品の報鳥の体を処分するから…」
「…分かりました。」
俺は学校の襲撃者と同様の方法で報鳥の複製品の体を処分した。
「そう言えば、まだ、名前を聞いていなかったな。教えてくれるか…?」
まずは男性の方が自己紹介した。
「は、はい!私は刀体士(とうていつかさ)といいます。」
続いて女性の方が自己紹介した。
「私は、植森桜(うえもりさくら)と言います。」
「了解しました。それで、俺は誰の所に行くべきなのか教えてくれませんか?」
桜が申し訳なさそうな力のない声で答えた。
「申し訳ありませんが、照様自身で決めていただけたませんか?」
「…理由を聞いても?」
照の質問に士が答えた。
「理由は単純明快です、私達では実力不足なのです。」
「そうですか…分かりました。では、取り敢えず中に入りましょうか。」
「「はい…」」
照達は施設の中に入り、状況確認を行った。
奥の方からは不気味な気配が漂ってきており、右奥からは戦闘の音がしてくる。
「…成程、戦闘は確かに激しくなっているみたいですね。」
「…えっ!入っただけで分かるんですか…⁈」
「…一応ね、俺は基本常に気配探知を高レベルで維持できるようにトレーニングしているからね。」
「成程…」
「…うーん、よし!凍士の方に行こう!」
士は一つ申し訳なさそうに照に確認をしてきた。
「あの…龍牙様のところへは…?」
「行きませんよ。」
「何故ですか?」
「簡単ですよ。龍牙さんは相手がどの程度の強さであっても問題なく勝てます。」
「何故そんなことがわかるんですか!龍牙様も人間である限り死ぬ可能性があるんですよ…⁈」
「つまらない質問ですね…ま、答えましょう。さっきも言いましたが、常に高レベルで維持できるようにトレーニングしていると。」
「はい。」
「そのトレーニングを続けてきた結果、最近…限界まで集中して探知するとその対象の最大パワーまで感知できるようになりました。」
「納得しました。」
「それじゃあ、凍士の方は行きましょう」
照達は凍士達のいる施設最奥部へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます