第135節 悪い的中 (侵犯編43)
「と、言うと?」
「言いたくはなかったが、俺達の中に敵からのスパイがいる可能性が高まった。ほぼ確実にいるだろう…」
「…そうですか。」
「…待て、それ以上喋るな。情報を与えるだけだ。」
「え?」
「今確信した。間違いなくスパイがいる。しかも、今の会話も聞かれているだろう」
「…!」
「さ、出て来い!誰だか知らないが、姿を見せろ!」
廃れた日本家屋の裏から報鳥が出てきた。
「…嫌な的中だ。まさか…雄人お前が奴等のスパイだったとはな、本当に想定外だよ。」
「それは良かった。だが一つ、お前達にとっていいことを教えてやろう…」
「…?」
「この姿は本来の姿ではないということだ。」
「なら、さっさとその本来の姿とやらになってくれ。」
「…無理だ。」
「何故?」
「…もしかしたら直接戦うこともあるかも知れないから教えてやろう。一言で言えば、今の体は借物だ。」
「そうか…それじゃあ、本物の報鳥は何処にいるのか教えてもらおうか。」
「…さぁ、知らないな。ただ一つ言うなら、ここの施設にはいない。」
「そうか。最後に…お前の今の体は何だ?」
「それは教えてやろう。この体は報鳥の体を複製した物だ。」
「成程、感謝する」
照は安心して報鳥の体ごと倒せると判断して〈カグツチ〉になった。
報鳥の体を使った敵も対抗して薄紫色の鷲の鎧を身に纏った。
「裏鷲〈ダーク・イーグル〉!」
敵は本物の鷲の様に飛び上がってから急降下し、体を回転させながら、纏っている鎧の一部の翼で照に攻撃をしてきた。
それを照は両腕をクロスさせて正面から受け止め、回転が遅くなりほとんど止まったところで頭を力強く掴み、全力で施設に向かって投げた。
『ドカァーンッ』と報鳥の体が施設にぶつかった時に大きな音と共に大きな跡と大きなヒビが施設の壁に入った。
報鳥はフラフラと立ち上がりつつ…
「ふふ。やはり強いな…。感謝します、ボス。ボス…貴方の采配のお陰で今、俺は最高の気分を味わうことが出来ています♪」
「何をボソボソ言っているんだ…?ま、俺には関係ない。」
照は自分に向かってくる報鳥の体に憑いている敵に向かって右手に感情の具現化によって〈カグツチ〉の上から炎を纏って、横に振り切って炎の衝撃刃を報鳥の体に取り憑いている敵に向かって放った。
照が放った衝撃刃は敵に向かって行き、敵は回避しようとするものの、右脚に当たり同時に火傷状態になり敵の起動力を奪った。
「ぐっ…!」
敵は顔を歪ませながらも、右足の火傷と痛みに耐えながら照に向かって全力で走り突っ込んできて、纏っている鷲の鎧の翼の羽を左腕に集中させ、羽の硬度を上げて切り付けようとしたが、それを避けてそのまま左腕を掴んだ。
すると、『ジュウウウウ…』という音と共に掴んだ部分の敵の左腕が爛れて…それは左腕全体に広がった。
「グワァーーーーーッ」という頭に響きそうな程の大きな叫び声を上げた。
「…お前の体は複製なんだろ?じゃあ、痛みはないだろ…⁈」
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