126節 救出へ… (侵犯編34)

…5人は何も発さず、黙ったままだ。

 「おい、何か言ってくれよ。恥ずかしくなるだろう?」

「いや…なんというか…意外と良かったから、返しがよく分からなかったのよ。」

 「…そうか。よし、雄人お前はどう思ったんだ?正直に言ってくれ!」

「俺は気に入ったぞ。」

「そうか…ありがとう。お前達はどう思ったんだ…?」

「私は…そうね…貴方らしくて良いと思うわ。」

「僕も師匠らしくて良いと思います。」

「…ありがとう。最後にお前達ならできる奥の手を教える。しっかりと覚えておけ」

5人は相槌を打って了承した。

 「では教えるぞ…」

照は5人に奥の手を教えた…

 そして5人は頷きながらも『本当にそんなことができるのか…?』というような表情を浮かべていた。

 その後、其々の家に帰った。

俺が家に着いた頃には既に日は沈みきっていた。

        ・

 10日後。

俺達はこの春休みを使って奴等のアジトの一つが奈良の廃村にあると聞いたので、新幹線に乗って今は大阪に向かっている。

 俺達は手合わせで負ったダメージと心身の疲れを癒やす為に、唯々寝て過ごした。

 ・

そして俺達は俺の母の実家に着いた。

 祖父母には、俺達は観光をしてくると伝えてある。

 翌日、俺達6人は緑地公園で千癒さん達数十人と合流して8時間かけて徒歩でその廃村に向かった。

 廃村の入り口に着いた俺達は龍牙さんと合流した。

 そして、合流してから廃村を一通り確認したが、その廃村は何も整備等がなされている様子はなく、人がいなくなった時のままの正に…という感じのところだったが、何か不思議な感じがした。

 俺は廃村には入らず、その入口で凍士達と別れた。

 凍士達は照と別れて廃村の中へと足を踏み入れ、歩みを進めて廃村の中央に辿り着いた。

 そうすると…見えてきたのは村の役所だったであろう施設だった。

 そこにはもう来ていないであろう電気が付いていた。

 「…そうか。ここが…」

「…はい、間違いありません。」

凍士達は福達敵組織のアジトの一つを確認した。

 しかし、凍士達は人の気配を察知し、近くにあった幾つかの建物跡に複数のグループに別れて隠れた。

 そして3人の男女がその村の役所跡に入って行くのを確認してから近いところから順にその役所跡に入って行った。

 中は廃村にある施設とは思えない程にしっかりとした設備があり、中は一言で言えば研究所という感じで奥に進む程に不気味な空気感が凍士達に広がっていった。

 そうして施設を進んでいくと敵の団員が凍士達を待ち構えていた。

 「そうか…お前等があの方々の野望の邪魔をしている奴等か。」

 「…どうやら、私達のことは既に知らされているみたいね。」

「ああ、既に知っている。目的は少年の救出だろう?」

 「なら、道を開けて下さるかしら?」

「開ける訳ないだろうが!」



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