第122節 近づく (侵犯編30)

次に…

 火花は全身の熱エネルギーを両手に集め、それを〈オロチ・ブラスター〉のうちの2つに向かって、巨大な炎として発射した。

 それを全力でぶつけ、直撃は何とか阻止していたが、その衝撃によって火花の体にダメージを与えていた。

 次に…

報鳥は鷲の体の様な鎧を自分の体に形成し、その時一緒に鷲の翼が自分の背中に形成された。

 それをじぶんの前に出し硬質化させて照の繰り出した〈オロチ・ブラスター〉のうちの2つを押し返そうと、威力を減少させることは出来たが他2人と同様に衝撃によってダメージを受けた。

 他2人よりは若干軽く済んだがそれでもかなりのダメージを受けた。

 最後に…

凍士はこの試合の中で成長し、これまでの限界を大きく超えて、大きさ1メートル暑さ40センチの氷壁を連続で4つ形成することに成功した。

 が、照の繰り出した〈オロチ・ブラスター〉のうちの2つの威力の方が高く少しずつ氷壁にヒビが入り、4枚全てが破られてしまった。

 しかも、凍士の場合は他の3人とは違い、直接受けるでもなければ、エネルギー弾を放って相殺を狙うでもなく、押し返して威力を抑えるでもなく…4枚の分厚い氷壁によって直撃を避けるというものであったため、衝撃によるダメージは3人に比べて小さく済んだが、破られた氷壁の破片が凍士本体にまで飛んで行きそれによって全身から鋭利な刃物で切り付けられた様な傷と出血をしていた。

 そして…

『ドォォォォンッ』という轟音と共に、火花の〈フレイム・キャノン〉と〈オロチ・ブラスター〉の2つと〈オロチ・ブラスター〉2つと〈クアッド・ヘビーウォール〉4枚全てが破壊されたことによって生じた2つの爆煙が上がった。

 この2つの事象は4人にとっては嬉しいことだった。

 4対1というハンデ戦ではあるものの、全力の照を相手に対等に闘えている証拠だと思った為、表には出さなかったが内心4人は飛び上がりたい程に嬉しさで悶えそうになっていた。

 そして、ゆっくりと轟音が部屋中にこだまの様に反響し、少しずつ小さくなっていく中で同時にゆっくりと2つの爆煙も晴れ始め…

 煙が晴れた時に見えた四人は深いダメージを負いながらも支え合って、何とか武舞台に立っていた。

 「な、何とか耐えきれましたね…」

「そ、そうね…けれど、改めて思い知らされたわ…照は私達と同じ“超人”という同じ域にいる筈なのに4対1で闘っても良い勝負をするのがやっとなんて、ほんと…化け物よ。」

「はは、それは褒め言葉として受け取らせてもらうよ。でも、君等もそれに近づきつつあるんだよ?」

「そんな訳ないわ。私達は4人で貴方一人と闘っているのに勝てていないもの。」

 「それは勘違いだ、火花。」

「えっ…?」

「信じられない様だな。」

「当たり前でしょっ!私達は支え合ってどうにか立っているのに…貴方は結構余裕があるじゃない!」

他の3人も火花の言葉に相槌を打っているので同意見なのだろう。




 

 

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