第120節 試合開始 (侵犯編28)

「これはかなり楽しめそうだ。」

 「其々、準備は整った様だな…。それでは…『ピーッ』」

 龍牙さんの鳴らした笛を合図に俺と凍士達4人の手合わせが始まった。

 俺は先に仕掛けた。

この一発で手合わせを終わらせるつもりで攻撃に移った。

 俺は〈トライアル〉のスピードでまず…最も近い位置の報鳥との距離を詰め、そのままの勢いで、右脚の蹴りを報鳥のふつ腹筋目掛けて叩き込もうとしたが、間一髪で避けられてしまった。

 「何とかなっ…」

「何してんのっ⁈集中しなさい‼︎」

「まだ行くぞ!」

俺は維持をしたまま、狙いを報鳥に定め、追撃仕掛けた。

 「回転八蛇乱撃〈サークル・オロスター〉ッ‼︎」

 照は右足を軸にゆっくりと回転をしながら集中力を高め、エネルギーを練り上げ始めた。

 これを4人はチャンスと思い、4人は武舞台の4方に分かれ、同時に最大の攻撃を照に仕掛けた。

 「巨大雷爪撃〈ギガ・ボルトクロー〉‼︎」

 物一の全身の力を獣の爪の様な形で上に突き上げた右拳に集め…

 「地獄炎熱脚撃〈ブレイズ・スライサー〉‼︎」

 火花の左足に全ての炎と熱のエネルギーを集め…

「豪熱翼撃〈ヒート・アタック〉ッ‼︎」

報鳥の身体中の熱エネルギーを翼に集め…

「巨大氷砲撃〈ギガ・フロストキャノン〉ッ‼︎」

 凍士が身に纏っていた氷結鎧を解き、凍士の20センチ前に巨大な槍の穂の様な形に氷を操作・制御して形成。

 そして、報鳥が先に突撃して凍士・火花・物一が同時に放った。

 照に4人の攻撃が当たり、『ドォォォンッ』という凄まじい爆煙と炸裂音が部屋中に響き渡った…

 「どうだ…?」

爆煙が晴れ…照の姿が見え始めた…

『…‼️』

 「そ、そんな…私達の今使える最大威力の技を4発も喰らったのに…」

 致死量程ではないが、大量出血により、若干ふらついているものの、照は倒れてはいなかった。

 「あれは…空気の膜?」

「…!間違いないわ。恐らく、照が回転する度に周りの空気を少しずつ巻き込んで薄い空気の膜を作っていたんだと思うわ。」

「「「成程、納得(です)。」」」

と言う問答を4人がしている間も照のダメージは、ゆっくりと…少しずつ…与えた大量出血によるダメージも癒えていく。

 そして…完全に爆煙が晴れる時にはふらつく状態からなんとか直立できる状態になっていた。

 「予想以上にレベルアップしているな、俺は誇らしいぞ。それで?勿論、手合わせは続けるんだよな?」

『当然(です)!』

「そうじゃないとな…俺もやっと体が温まってきたところなんだ。もっとこの手合わせを楽しもうじゃないか。」

 『…』

「まだ、本調子ではなかったとは…」

「本当にこの人は…」

「 「僕等と…」」

『次元が違う!』



 

 

 



 



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