第117節 望み (侵犯編25)
「本当か!どういう情報なんだ…⁈」
「ああ、奴等が虫利くんを連れて行った場所の情報を入手した。」
「何処だ…⁈」
「奈良県南方の廃村にある屋敷跡だと判明した。」
「そうか…やはり、お前は信用出来る。それで?そこには護衛等はいたのか…?」
「ああ、いたぞ。俺の感覚だが、少数精鋭って感じがしたな…」
「そうか。その中に警戒するべき奴はいたか…?」
「そうだな…俺達が警戒する程の奴はいなさそうだったが…強いて言うなら、虫利を拐ったであろう男の上司らしき女、そいつだな。」
「そうか、その女の風貌は分かるか?」
「すまん、そこまでは分からなかった。」
「そうか…ではその女の強さや気配はどうだった?推測で構わない…だから、正直に言ってくれ。」
「そうだな…本当に推測になるが構わないか?」
「勿論、構わない。」
「そうか…なら言わせてもらうが、そうだな…俺の推測では最高で俺達に匹敵するかもしれない。」
「…!それは本当か⁈」
「ああ…あの女が放っていた気配、あれは底が知れなかった。最低でも俺達で言うところの10貴士上位層レベルは確実にあると考えていい。」
「そうか…なら俺も行かせてもらおう」
「それはやめておいた方がいい。」
「どうして?」
「今のお前が向かえば間違いなく被害が想定より大きくなるからな。」
「それでもだ!俺にとって虫利は半分弟の様な存在になりつつあるんだ。だから…行かせてもらう!」
「……うーん…。やはり駄目だ!」
「何でだよっ!」
「前にニュースでやっていただろ…?」
「何を…?」
「奴等に掴まれるとバタリと倒れるっていうニュースを。」
「ああ…それは知っているが、それに何の関係があるんだ…?」
「それは非常に簡単だ。奴等は頭領から“吸収”の能力の一端を与えられている」
「それがどうした?」
「つまり、お前の力の一部でも奪われるのはマズイ。だから、お前に戦闘の参加は控えて欲しい…と、言っているんだ。」
「成程。なら聞くが、お前達だけで勝てるのか?俺達に匹敵する可能性のある敵がいるかも知れない戦いに。」
「…大丈夫だ。俺は勿論、戦闘には龍牙も参加する。」
「だから、勝てるってか?」
「…」
「それは傲慢てやつだ。そして、傲慢は油断になり、そしてそれは自らの身を危険に陥れる一番の理由だ。」
「分かった。全力で挑むし、油断もしない。だから、おまえは戦闘に参加しないでくれ、頼む。」
「…致し方ない。が、近くには行かせてもらう。万一があるかもしれないからな」
「しょうがない。それで良いから俺の望みを呑んでくれ。」
「分かった、それで構わない。」
「それじゃあ決まりだ、報告感謝する。報鳥。」
「気にするな、それが一番俺がお前の役に立てることだからな。」
そして報鳥は俺との電話を切った。
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