第114節 報鳥の対面 (侵犯編22)

翌週、土曜日。

 今日は龍牙さんと俺が初めて闘った場所で報鳥と凍士達の顔合わせをする予定だ。

 今、俺は榴の祖父の別荘に報鳥を案内している。

 凍士達には榴の案内で先に別荘で待ってもらっている。

 「おい、照。まだ、着かないのか?」

「まぁ、もうちょっと待てよ。あとちょっとだから。」

 「そう言って、もう30分は経っているぞ。」

「そう言うなって。ほら、見えてきたぞ。」

 「見えてきたって…ただの山じゃねぇか。」

「まだ…な。けど、直ぐに見えてくるからよ。もうちっと頑張って歩いてくれよ」

「いいけどよ…この前の方法じゃあダメなのか?」

「無理だ。俺達の場合でも顔を合わせてからじゃないと出来なかっただろう?」

「分かった、よく分かった。だからもう話そうとしなくても良い。」

「そうか…。今度はちゃんと見えるだろう

…?」

「ああ、それにしてもデカいな。ちょっとした屋敷なんじゃねぇか?」

「確かに、それくらいはありそうだな。だが、このくらいで驚いていたら心がもたないぞ。」

 「さ、着いたぞ。」

「歩いていた時から思っていたが本当にデカいな。」

「ああ、そうだな。ちょっと待っていてくれ。」

「分かった。」

 「ようこそ、照様。そちらが雄人様ですね…?」

「はい、そうです。」

「雄人様、初めまして。私、ここの管理人兼榴様のお爺様の執事をしております。烏斗真(からすとうま)と申します。」

「こちらこそ初めまして。報鳥雄人(ほりゆうと)です。宜しくお願いします。」

 「はい。…では、私に付いてきて下さい。皆様がお待ちですので。」

 「分かりました。」

俺と報鳥は斗真さんの案内で俺と龍牙さんが初めて闘った部屋に向かった。

 …

「皆んな、紹介しよう。俺が最も信用している報鳥だ。」

 「榴くん以外の皆さんは初めまして、俺は報鳥雄人(ほりゆうと)照の幼馴染兼専属の情報屋だ…宜しく。」

 「どうした、ディア?」

「いや…雄人のエネルギーが全然計れないから…」

「そういうことか…。報鳥、少しエネルギーを解放してくれ。」

「分かった。」

雄人は照に言われて少しだけエネルギーを解放した。

 そのエネルギーは凍士達を納得させるには十分だった。

 「これは…凄い。」

「今のは…全力のうちどれくらいでしょうか…?」

「そうだな〜…大体三割ってとこかな」

『…‼︎』

 「成程、確かにこれは凄いわね…しかも三割なんて完全に自信喪失よ…」

「そうか…?俺は照と同じメニューを同じ時間こなしてきたんだ。当然だろ?」

「納得だわ…」

「けど…龍牙さんには敵わない。」

「そうなの?勝てそうなのに…」

「追い詰めることは出来ても勝つのは難しいな。」

 凍士達は報鳥の言葉を聞いて唖然とした。

 それも当然だ。照と良い勝負をした龍牙を追い詰めることができる実力を持っていると聞いて呆気にとられてしまったのだ。

 その後…解散し、其々の帰路に着いた。






 

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