第113節 精神世界で2 (侵犯編21)
「「ここは…何処(だ)?」」
「照、お前ならこの空間のことを知っているんじゃないか?」
「いや、俺もこんな空間に来たのは今回が初めてだ。」
「そうか…じゃあ、この空間のことは何も分からねぇのか。」
「まぁ、そんな気落ちする必要は無いと思うわ。」
「何故そう思う?」
「簡単な話よ。ここは恐らく現実のどんなセキュリティよりも安全だという確信があるから。」
「と、報鳥早く伝えることを言え。」
「ああ、そうだな。すまん。あの男、福という奴等のボス個人に関する新しい情報を手に入れた。」
「それはどういうモンなんだ?」
「簡単に言えば、奴は“龍人”を目指しているという情報を手に入れた。」
「龍人…よく分からないな、教えてくれないか?」
「ああ。だが、龍人の前にまず、龍について教える。」
「ああ…頼む。」
「分かった。まず、【龍】と言うのは天候を操るとされる伝説上の生物だ。そしてその力を奴は自らの身に宿らせようとしている。」
「てことは…」
「そう、それが“龍人”だと思って間違い無いだろう。」
「そうか…それで、その鍵が…」
「ああ、あの龍牙というお前達の表面上の上司というわけだ。」
「成程な。確かに即座に伝えるべきことだな。」
「なあ照、今の俺達ならアレ成功できるんじゃねぇか?」
「アレ…?ああっ、あれか!確かに今ならできるかもな。丁度いいやってみるか」
「ああ、やろう。」
「火花、ちょっと俺達を見ていてくれ。」
「分かったわ。けれど、これから何をするつもりなの?」
「まぁ、見ていてくれ。」
「分かったわ。」
「良し…やるぞ!雄人!」
「おう!」
照と雄人は互いに背中合わせになりエネルギーを高め始めた。
すると…ゆっくりずつ互いの体が背中合わせになっているところを中心に混ざり始めた。
・
「今のは…一体…」
「成功だな!」
「ああ、俺達の時間は無駄じゃなかったことがこれで証明されたな。」
「さてと…用事は済んだし現実世界に戻ろうぜ。」
「そうだな…戻るか。」
俺達は同調集中状態を解除して現実世界に戻った。
「今回の情報はかなり有り難かった。今度あいつらにお前を紹介しようと思っているんだが構わないか?」
「ああ、やっと俺は表立ってお前の役に立てるんだな。」
「そういうことだ。だが、日程はまた別で決めよう。」
「そうだな、確かに今すべきことではないな。」
「そうだ、言う必要は無いと思うが流石に心身共に休めろよ。どんなに丈夫な心身をしていても疲れは溜まるからな。」
「分かった、そうさせてもらおう。」
その後、俺は報鳥を見送り、火花を家まで送り届けた。
火花本人は嫌がっていたが、学校襲撃の時に学んだのだ。
本人が望んでいなくても守ることは必要なのだと。
だから、過保護かもしれないが、俺は火花を家まで送り届けると押し切り実行に移した。
翌週、土曜日。
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