第110節 “ピース” (侵犯編18)

「では、始めよう。」

 「ちょっと待って下さい!」

と凍士が俺を止めた。

「…どうした、何か言いたいことでもあるのか⁈」

「はい、鉱己さんと千癒さんは何故いないのですか?」

 「今からそれも含めて話す」

「分かりました。」

 「さてと…色々言いたいことがあるだろうが我慢して俺の話しを聞いてくれ」

  全員うなづいて了承してくれた。

「よし。まず、さっきの凍士の質問の答えからしよう。2人には仲間と協力して奴等の支部等の施設の場所の調査をしてもらっている。次に、奴等の目的が分かった。」

「それは、やはり…この国をリセットすることなのでしょうか…?」

「半分正解だ、彩羅」

「半分…ですか」

「ああ…彩羅の言ったこの国をリセットするのも目的ではあるが、それだけではない。奴等はこの国をリセットすることに加えて、同時に今現在のシステムそのものも破壊した上で、老若男女問わず汚い人間とその可能性が高い人間を全て殺し、その後残った人間を奴隷兼食料として統括することが目的らしい。」

 『…‼️』

「おい、それは確かな情報なのか…⁈」

「ああ…間違いない、俺が最も信用している人間からの情報だからな。」

 「その人に私達は会ったことは?」

「ない。榴意外、会ったことはない」

 「会ったことのない人からの情報などとても信用出来ませんっ!」

 「私も彩羅さんと同じです!」

「君達の言っていることは正しい。実際、僕も会っていなかったらこの情報を信用していなかっただろうからね。けれど、彼は仕事に対しては凄く真面目で徹底した人だから大丈夫だよ。」

 「貴方が言うのなら、取り敢えず信用することにします。」

 「私も信用します。」

「ありがとう、2人共。これで話を進めることが出来る。」

「どういうこと…?」

「それを今から説明してくれるんだろう?

照…。」

「ああ…そうだ。さっき、俺は奴等の目的を話しただろう?」

 全員が相槌を打っている。

「それはあくまでも“組織”としての目的であって、個人としてはまた別に目的があるらしいんだ。」

「それは…?」

「あの野郎、個人に従う忠犬国家にすること」

『……‼️』

「本当なのか…、照。」

「ああ、間違いない。あいつからの情報だからな…」

 「信用せざるを得ないな…」

「それで?それを実現する為の方法は分かっているの⁈」

「それはまだ…。しかし、今現在、それも含めて調査してもらっている。」

「そう…それに関しては何も分かっていない様ね。」

「いや、ヒントは掴めたらしい」

「それは…⁈」

「お前らである可能性が高い、正確には

ここにいる俺を除いた9人と今調査を頼んでいる2人を加えた11人が鍵らしい。その鍵のことを奴は“ピース”と読んでいたらしい。」

 「このことを2人には…?」

「既に俺と火花が言っている。」

  この場にいた全員が安堵の表情をした。



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