第109節 リタの伝えたいこと (侵犯編17)
「頼むぞ…」と小さく一言呟くとそれが聞こえていたのか知らないが報鳥は右腕を突き上げて『任せろ』と言っている様な気がした。
その夜、夢の中にて。
理想体の俺が話しかけて来た。
「君に伝えたいことがあるんだ…」
「何だよリタ、改まって…」
リタというのは俺が毎回理想体の俺では
面倒だから何か呼び名を考えて欲しい…と以前会った時に言われたこともあり、理想体の理想と体というところから一文字ずつとって【リタ】と呼ぶことにし、本人も気に入った様なのでそう呼んでいるのだ。
「君、新しい力を手に入れただろう?」
「あぁ…そうだが、それがどうしたんだ…?」
「…ハッキリ言うと、君がこれから踏み入れる“域”は今までの比にならないレベルでリスクが大きくなるんだ。」
「それはどれくらいなんだ?」
「そうだね…最初にあの福とかいう青年と会った時に黒い鎧になっただろう?」
「ああ…それがどうしたんだ?」
「あの後、君は1ヶ月以上生死の堺を彷徨った。そうだろう…?」
「…その通りだ。まさか、お前の伝えたいことっていうのは…」
「そう。これから君の踏み入れる“域”は毎回あれの最低でも3倍以上のリスクがあると思っておいてくれ。」
「つまり…」
「そう、あの時の君なら確実に即死していたレベルのリスクが最低でもあるってことだよ。」
「そうか…感謝するぜ、リタ。」
「そうそう…君もなんとなく分かっていたと思うけど、君の体の完成は更に上がったからトレーニングで多少無理をしても大丈夫だよ。」
「そうか…感謝する。」
俺はリタから肉体の限界が上がったこととこれから先の域が凄まじくヤバイレベルだということを伝えられた。
目を覚ますと既に朝だった。
俺はこれから先の域でのリスクをリタから聞き、それを少しでも小さく済ませる為にもやり方を見直して筋トレを高負荷のメニューに持久走は5キロから7キロに延ばし、休憩を減らした。
この様にメニューに変更を加え、これからの域のリスクを少しでも小さく済ませられる身体づくりを始めた。
・
11月5日、俺は鉱己と千癒を除いた10貴士を龍牙の家の地下の一室に集めた。
その部屋の中は巨大な円卓の周りを時計の数字の様に椅子がぐるっと配置されており、ネット環境も整備されている。
更に、前に照が龍牙に報告した部屋程徹底されているわけではないが防音もなされている。
「今日…何故、僕等はいつものところではなく龍牙さんの家の地下にあるここに集めたのですか?」
「それは今から照が説明してくれるわ」
「さて…説明を始める前に一つ言っておくことがある。」
榴達8人があれの方に体を向けた。
「場所がここなのは龍牙さんも関係がある上、いつものところよりここの方がセキュリティがしっかりしているからだ。」
榴達8人はどうやら納得してくれた様だ。
「では、始めよう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます