第108節 変化 (侵犯編16)
「分かりました。」
こうして支配されていた凍士を解放し、元に戻すことに成功した。
俺は今まではいじめっ子や敵であっても出来る限り殺さない様にしてきたが今回のことで…曖昧だった決意が(福…お前等は許さない…魂に恐怖が刷り込まれる程徹底的に壊してから殺す…絶対にな。)と確固たる物に変化し、俺は静かに怒りの炎を燃え上がらせた。
この日はこのまま家に帰ろうと思ったが
凍士と虫利のことが心配だったので2人の家まで送ることにした。
このことを2人に言って、快諾してくれた。というか、2人はとても喜んでいた。
その後。まず、凍士の家に向かい、凍士の両親に送り届けた。
凍士の両親は俺にお礼をしたそうだったが、思いとどまってくれた様だ。
次に虫利を送り届けるのだが…こっちの方が俺にとっては重要だ。
何故なら、今の俺にとって虫利は半分弟のような存在であり、父さん達血の繋がった家族よりも大事な存在になってきているからだ。
「なあ…虫利。最近の火花の様子は?」
「そんなに気になりますか…?」
「当然だ。俺は彼女に救われたのだからな。…本人には言うなよ、失望はされなくても笑われそうだからな…」
「分かっていますよ。…火花姉のことでしたね。」
俺は虫利の言葉に相槌をうってそうだということを示した。
「そうですね…とにかく必死ですよ。貴方の隣に立ち、立ち続ける為に必死に死に物狂いで修行に打ち込んでいます。」
「そうか…じゃあ、“無理をするな”って一言伝えておいてくれ。」
「分かりました、では…」
「ああ。」
俺は虫利も家に無事送り届けることが出来た。
「…おい、いつまで隠れているつもりなんだ?」
「ははっ、ごめん。思ってたよりずっといい雰囲気だったからさ。」
「はぁー、相変わらずつまらないことをするのが好きみたいだな…報鳥(ほり)」
「いいだろ?俺とお前の仲なんだから。
ていうか、いつから気づいていたんだ?」
「凍士の家を出てからだ。…それで?お前が俺の前に現れたってことは何か掴んだんだな…?」
「ああ。」
俺は報鳥から報告を受けた。
「…!それは本当なのか…⁈」
「ああ、間違いない。榴くんと協力して集めたし、擦り合わせもしたから情報は確かさ。」
「そうか…。って待て!何時榴と知り合いになったんだ⁈」
「…そうだな〜…半年くらい前かな…頼まれたことをしている時に会ってよ、そのまま俺の手伝いをしてもらったんだ…」
「成程な…。さてと…お前には更に調べて欲しいことがある…」
俺は報鳥に調査して欲しい事を伝えた。
「了解、リーダー」と言って、報鳥は踵を返して与えた任務に向かおうとした。
「頼むぞ…」と小さく一言呟くとそれが聞こえていたのか知らないが報鳥は右腕を突き上げて『任せろ』と言っているような気がした。
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