第105節 違和感 (侵犯編13)
「分かりました、では…失礼します。」と言って、一礼してからケイジュの部屋から退室した。
・
10月下旬、俺の中3の2学期もいつの間にか折り返しを過ぎていた。
この日は何のトラブルも無く学校が終わり、今は家の自室でイメージトレーニングをしている所だ。
「ん…なんだ?」
ここで虫利から電話がかかってきた。
「…ん、どうしたんだ?俺に電話してくるなんて…何かトラブルか…⁈」
「いえ、トラブルではありません。」
「なら、何の用なんだ…?」
「相談したいことがあって…」
「相談?…言ってみろ、俺に出来ることなら協力するぞ。」
「ありがとうございます!実は…凍士に関することなのですが…様子がどこか変なので、一度見てほしくて…。」
「どう変のか教えてくれ」
「えっと…一見、普通そうに見えるのですが、たまに凍士の顔を見てみると虚な…
生気がなさそうに見えることがあるので照さんならその理由が分かるかも知れないと思って…取り敢えず、一度アイツの様子を見て下さい!」
「……分かった!引き受けよう!それで何時あいつに会えば良いんだ?」
「土曜日はどうですか?」
「構わないぞ。…時間はどうする?」
「午前11時頃で良いでしょうか?」
「分かった、それで行こう」
こうして日程と時間が決まり、虫利との通話を切った。
土曜日、俺は虫利に案内されて来たのは
2人が通っている小学校だった。
「本当にアイツはここにいるのか?」
「はい!ここに来るように伝えたので大丈夫です!」
「そうか……」
そんなことを話していると校舎内から凍士が出てきて…俺、虫利との距離が3メートル程になったところで凍士は足を止めた。
「確かに…お前の言う通り、変ではあるな…しかし、アイツからは全く邪悪な気配を感じないぞ…?」
「それは僕も分かっています。なので…尚更分からないんです。」
「確かに、違和感があるな…。ん…?何か少し動きが固くないか…?」
「そうですか…?僕には普通に見えますけど…」
「それにゆっくり歩いて来るだけで全く口も動いていないし…」
「確かに、そうですね…もしかして照さんの言ってた違和感の正体って…」
「そんな筈はない!アイツの実力を俺は知っているし、俺とずっと修行してきたんだ!あり得ないっ!」
凍士はそのままゆっくりと俺達2人のいるところに歩いてくる。
そして…俺達2人との距離が1メートル程に迫った所で突然、凍士が俺達に襲いかかって来た。
それを俺達2人は避けた。
「これで確定しましたね…照さん。」
「…そう、みたいだな…。」
「ここは僕がアイツを元に戻して見せます…!」
「いや、だめだ!ここは俺がやる!」
「しかし…僕もアイツの友人として…」
「そう思うならお前はアイツが元に戻った時に傍にいてやれ。」
「…分かりました」
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