第104節 進捗 (侵犯編12)
「そうか…しかし、同級生に異名がつく程強いのに全く欲を出さない、お前の様な人間が俺は誇らしいぞ。」
「そうか…それは嬉しいな。」
というやりとりはあったが、それ以外は特に変化もなくいつもの日常生活だった。
・
拠点の一つでは、ケイジュが部下の女を自身の部屋に呼び計画の進捗状況の報告を受けようとしている。
「さて…ホラウ、進捗報告を…。」
「はい、この辺りは当然として都心等の東京も我々の物になりつつありますが、あの男達の暗殺には成功出来ておりません。」
「ふむ…まあ、それは致し方ない。
それで?東京で支配出来ていないのは何処だ…⁈」
「町田や八王子等の南側の地域です。」
「あの男達の妨害がある、それもかなり強固と言うことか…。」
「はい…ですので、南側の地域は難航しております。」
「ふむ…そうか。次にあの男達に関する情報は集まっているのか?」
「はい…こちらの資料は私達が全力を尽くして現在までに集めた情報です。」と言って、ホラウはケイジュに集めた情報を紙の冊子としてまとめた物を渡した。
渡された資料を見て…
「ふむ、上出来だ。よし…ホラウ、お前も前線に出てあの男の周りから崩せ。」
「そう…仰られると思いまして、既に開始しております。」
「流石だ…。だが…決して慢心せず、感情エネルギーさえもコントロールしてあの男達に悟られぬように慎重に慎重を重ねて任務にあたってくれ。」
「はい!肝に銘じておきます!そして…」
「何か手に入れたのか?」
「いえ、物ではありません。さあ、ケイジュ様の前に連れてこい!」
と、ホラウが部下に指示を出してケイジュの部屋に連れてきたのは凍士だった。
「こいつは…!」
「はい、資料にもあるあの男の弟子の少年です。」
「素晴らしい手柄だ。こいつを捕縛した者をここに連れて来るのだ。」
「分かりました!ケイジュ様からの指名だ…ここに連れて来い!」
と再び部下に指示を出して連れて来たのは容姿が10代後半くらいの青年だった。
「ケイジュ様…連れて参りました。」
「この青年が捕縛したのか?」
「はい…、ケイジュ様に自己紹介しなさい。」
「分かりました。ケイジュ様、俺はタイトと言います。ホラウ様が敬愛する貴女様の前に出ることが出来て嬉しい気持ちでいっぱいです。」
「そうか…それでオレがお前を呼んだ理由だが…君にはボスから褒美を与えて下さるよう掛け合おうと思ってな。」
「俺なんかの…モブキャラの為にボスからの褒美を与えてもらえるように掛け合って下さるなんて本当に宜しいのでしょうか⁈」
「お前の功績はそれに匹敵するとオレは思っている。」
「ありがとうございますっ!」
「では決まり次第お前をここに呼ぶから任務をこなしながらゆっくり待っているが良い。」
「分かりました、では…失礼します。」
と言って、一礼してからタイルはケイジュの部屋から退室した。
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