第103節 新たな異名 (侵犯編11)

そして…翌日、俺は学校へ行った。

 学校にディアと彩羅と一緒に向かい…着くと、校長先生が慌てた様子で俺達3人の前にやって来た。

 「校長先生…どうしましたか?」と彩羅が聞いたが、校長先生は落ち着きがない。

 俺達は校長先生の案内で学校の敷地内で人が少ない、校舎の裏に移動した。

 移動中に校長先生が落ち着いた様なので再び彩羅が同じ質問をした。

 「校長先生…どうしましたか?」

「今さっき、電話で君達に市から感謝状を送りたいと連絡が来たんだよ!」

俺達3人は顔を見合わせて驚きあまり無言になってしまった。

 少し間を置いて、俺は校長先生に確認の質問をした。

 「あの…本当に俺達3人なんですか?」

「…今、在学している生徒では君達だけだよ。」

「そうですか…」

彩羅がさっきの校長先生の発言を聞いて、思っていたことを質問した。

「…と、言うことは火花さんもですか?」

 「うん…そう言っていたよ。」

「分かりました、失礼します。」と、彩羅が言い下駄箱へ向かおうとしたがその前に俺達は引き止められた。

 「最後に…君達のことだから大丈夫だと思うが、念の為に言っておくよ。」

俺達は校長先生の呟きにうなづいた。

 「君達3人はこの学校の救世主(ヒーロー)達だから、気を緩めてこの不謹慎な世の中の事故とかに巻き込まれないようにしてくれ。」

 俺達3人は校長先生の言葉にうなづいて返答をし、連続で会釈をして下駄箱に向かった。

 校舎に入ると中は騒がしく、生徒・教師に関係なく俺達に嫉妬や感謝等様々な思いが籠った視線を向けられていた。

 俺達はすれ違う度に思いの籠った視線を浴びながら、それを唯々無視して教室に向かった。

 教室に着く頃には既に精神的に俺達3人は疲れていた。

 だが…案の定、教室内もざわついていたが、クラスメイト達は俺達に対して今までと同じ様に接してくれた。

 しかし、一つ変わったのは俺に新たな異名がついたことだ。

 クラスメイトの一人、桃己(とうき)が俺の座っている席にやってきて話しかけてきた。

 「なあ…照、お前最近この辺りで怒りの魔人〈イフリート〉って呼ばれてるんだけど…知ってるか?」

「いや、知らないけど。その呼び名に何か意味があるのか?」

「この前、この学校…襲撃されただろう?」

 「ああ…そうだな。それがどうしたんだ?」

「襲撃して来た一団をお前が炎熱で溶かしただろう…?」

 「ああ…そうだな…。」

「それを見ていた近所の人から炎の魔人のイフリートの様だってことでお前の新しい異名が怒りの魔人〈イフリート〉って呼ばれてるんだよ…。」

「…そうなのか。けど、俺には関係ないな。」

「えっ…誇らしいとか思わないのか?」

「全く思わないな」

「何でだ?」

「逆に聞くが…お前の大切な人が襲われていて目を背けられるか?」

「…〜無理だな。」

「そういうことだ。俺はあの時俺の大事な人の命が弄ばれてキレた結果だし、俺自身後悔していないからな。何の問題もないし、その異名を誇らしいとも思わない。」

「そうか…しかし、同級生に異名がつく程強いのに全く欲を出さない、お前の様な人間がいて俺は誇らしいぞ。」


 

 



 

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