番外編4-3 照VS龍牙2

「…バレてたのか」

 「当然ですよ。貴方からは悪意や殺意等の負の感情とは違う気配を強く感じた上に今の動きとスピードで確信しました。貴方は間違いなく強い、それもかなり」

 「…完全にバレてたのか…?」

俺は龍牙さんの呟きに首を縦に振り、分かっていたことを表現した。

 「そうか、バレていたのか…仕方がない僕も全力を出すことにしよう…。

 龍鱗鎧〈ドラゴ・アーマー〉!」

「良かった…それじゃあ、僕もそれに答えますよ。超速度特化・大蛇〈トライアル・オロチ〉!」

 龍牙の〈ドラゴ・アーマー〉はその名の通り、龍の鱗の様な模様をした鎧で、一部の雷等の自然現象を小規模ではあるものの扱うことが出来るのだ。

 対して、照の〈トライアル・オロチ〉は

〈ブースト〉以上にスピードに特化した形態であり、照の今扱うことの出来る形態の中で最も攻撃力と防御力に乏しく、自己回復力も低いが代わりに凄まじい速度で動くことができる超・一点突破型の形態で、容姿に変化は無い。

 「既に身体から出た汗が湯気の様に出ているじゃあないか、大丈夫かい?」

 「勿論!闘ってみれば直ぐに分かりますよ…さ、どうぞ、いつでもいいですよ。」

 「そうか…じゃあ、遠慮なく行かせてもらうよ!」と言って、先程よりも上がっているスピードをコントロールして龍牙さんは俺の右横からスピードを上乗せした上段蹴りを放ってきたがそれを俺は龍牙さんを中心としてコの字で回避と左脚でのスピードを上乗せした回し蹴りを龍牙さんの右横腹に当てて僅かに龍牙さんの体が泳いだのを俺は見逃さなかった。

 「八百・連蹴拳撃〈ヤマ・フルアタック〉!」

  俺は武舞台の端まで後5メートル程残っていたが一瞬の暇さえ、龍牙さんに与えぬ程の両手足を使った超高速での連続攻撃で龍牙さんを防御一辺倒にすることで身体を硬直させることに成功した結果、5メートルあった距離を詰めて、龍牙さんの背中が場外の床に着き俺の勝利が決定した。

  俺は大量の汗と同時に攻撃をしていた両手足から其々少量の出血をしていた。

「勝者、照様…!」

 「ふうー…、なんとか勝てた…。」

「いやー、君が強いのは分かってたけど、

これ程強いとは流石に予想外だったよ。」

 「そうですか…しかし、俺もギリギリ勝てたって感じで…龍牙さんこそかなり強いじゃないですか。」

 「謙遜しなくて良いよ。最後、僕は君の攻撃に対して守りに徹するすることでダメージを最小に抑えることしか出来なかったんだから。」

「さっき言ったことは事実ですよ」

「本当に…?」

「はい。というのも、俺のさっきの姿は〈トライアル・オロチ〉と言ってまだ、未完成なので完璧なコントロールができない諸刃の剣。なので、俺からすればそれを使わざるを得ないところまで追い込まれてそれに今回の試合でコントロールの精度が上がったと思うので満足も出来ました。」

 「そうか…それは良かった。しかし、僕が最後君に手も足も出さずに負けたことに代わりはない、もっと精進することにするよ。」

 榴は当然として、俺と龍牙さんもこの日はこの別荘に泊まり、翌日其々の家路に着いた。

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