番外編4-1 別荘 

始業式から3日後、4月8日榴から電話がかかってきた。

「良い場所が見つかったのか?」

「ああ、見つかったよ。」

「そうか…それで場所は何処なんだ?」

「ああ、僕の祖父が持っている別荘が小田原にあるんだけど…」

「そこは適しているのか?」

「勿論!セキュリティもしっかりしているし、周りは山等の自然に囲まれているからそうそう襲われることもないと思う。」

「そうか…なら、そこにしよう。」

「じゃあ、次は日程だね…何時が良いとかある?」

「そうだな…来週の土曜日はどうだ?」

「分かった、それで良いよ」

「そんなにあっさり決めて良いのか?」

「うん、爺ちゃんからはいつでも良いって言われてるからね。」

「そうか…じゃあ、来週の土曜で頼む」

こうして…日程と場所も決まり、俺は通話を切った。

         ・

 当日、俺は榴の案内で電車とバスを乗り継ぎ、そして徒歩で榴の祖父の別荘に向かった。

 着くと既に榴の言っていた大学生くらいの男の人が居た。

 俺とその大学生くらいの男の人は会釈を交わしてから、互いに自己紹介した。

 「初めまして、俺は火野照(ひのしょう)年は今年で15になります。今日は宜しくお願いします。」

 「僕は天津龍牙(あまつりゅうが)今年で21になる。今日は宜しく、照くん。」

「はい、こちらこそ。」

「この間は出来なかったので、今自己紹介させていただきます。僕は石上榴(いしがみりゅう)、照の友人で同じく今年で15になります。龍牙さん、今日は宜しくお願いします。」

 「榴くん、こちらこそ宜しく。」

「はい。」

「では、ご案内しますので後ろからついてきて下さい。」

「えっと…その前にあなたは?」

「そうでしたね、申し遅れました。私はこの別荘の管理人兼榴様のお爺様の執事をしております。烏斗真(からすとうま)と言います。」

  俺と龍牙さんは斗真さんに『有難うございます』と感謝を述べた。

 「さて…では改めて、ご案内致しますので後ろからついて来て下さい。」

「「分かりました」」

斗真さんに案内されて着いたのはとても重そうな扉の前だった。

 「えっと…この扉は金庫とかですか?」

「いえ、違います。」

「ではこの扉の中は…」

「それは開けて見れば分かりますから、見ていてください。」

「分かりました」

斗真さんはタッチパネルに右手で触れると扉が重々しく開き、見えたのは俺達がよく使っている物よりも数倍大きい武舞台ととても一つの部屋とは思えない程広く、武舞台意外は全て大理石を敷き詰めてあるようだ。

 「では、私がここの部屋について説明させていただきます。この部屋は元々、榴様の曽祖父の文一様がここの土地を買ってこの建物を建てました。その後、その息子…つまり、榴様のお爺様がこの土地と建物を引き継ぎ…そして、今私達がいる高さ4メートル、縦20メートル、横10メートルのこの部屋をリフォームする際に新たに作ったというわけです。」

 「成程、この部屋と建物の経緯は分かりました。しかし、この部屋の厳重すぎるセキュリティはどうしたんですか?」




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