第99節 悪い報告と調査 (侵犯編7)

千癒さんは一言、『分かりました。』とだけ返した。

 俺達は帰省している祖父母の家に、千癒さんは自分の家に其々戻った。

 残りの4日間は特に敵襲等のアクシデント無く、俺達は東京に戻ることができた。


 東京に戻ってから2日後、武舞台のある部屋に俺達5人は龍牙さんに呼ばれた。

「今日、君達5人を呼んだのは教えておきたいことがあるからなんだ。」

「もしかして…何かトラブルですか?」

「ああ…その通りだよ。彩羅。」

「どういうトラブルですか?」

「僕達はこの間、この組織を作っただろう…?」

「そうですね…、もしかして…」

「そう…少しずつではあるが、何かに侵食されている。」

「因みに裏切り者はいると思う?」

と、火花は龍牙さんに質問した。

 「ああ、いるとは思っている。だから、君達にこの問題の対応にあたってほしいと思っている。」

 「分かった、俺は可能な限りそのトラブル対応にあたろう。」

「照くん、感謝する。他の皆んなはどうする?出来ればここで判断して欲しいのだが…」

 龍牙の問いに最初に反応したのはディアだった。

 「私も火野と同じ考えよ。」

「私もディアと照さんと同じです。それにどっちみちやらないと問題が大きくなるだけですから…」

 「僕は辞退させてもらうよ。別でやることがあるからね。」

 「後は…火花さん、貴女だけだが。」

「私も引き受けるわ…けれど、マイペースにやらせてもらうわ。」

「それで構わない、感謝する。」

と、いうことで榴意外の4人は其々で組織が侵食されている原因を調査・排除に動くことになった。

 「火花、何か鉱己から聞いてるか?」

「何も聞いていないわ。」

 「そうか…じゃあ、其々で調査するしかないな。」

 「そうね。じゃあ、其々頑張りましょう。」

俺を含めて3人は火花の言葉にうなづいて返事をした。

 この日はこれで解散し、其々の家路に着いた。

 翌日。

俺は学校から帰ってから、千癒さんに電話をかけた。

 「火野くん、どうしたの?」

「実は、そっちで何か異変が起きていたりしませんか?」

「異変…ですか?」

「そうです。埃程の小さなことでも良いので変わったことがあったら教えていただけませんか?」

「そうですね…まだ大阪市等の一部の地域ではありますが、人を虚な状態にさせてそれをコントロールする人達がいるらしいという噂を耳にしました。」

 「その噂は関西だけですか…?」

「分かりませんけど…恐らく全国各所で起こっていると思います。」

「分かりました、ありがとうございます。」

 そして、俺は千癒さんとの電話を切った。

 (…にしても、人“達”か…俺も成長を続けているとは言え、警戒はしておこう。)

 俺は調査初日に意外と進んだと思った…

しかし、千癒さんとも連絡を取り合って情報交換をしていたが全く進展しなかった。

 半年後。

「チッ…こんなに頻繁に情報交換をしているのに一切進展がないなんて、完全に袋小路だ。」

(完全に袋小路だ。仕方ない、火花達と一度情報交換をした方が良さそうだな。)

と、ここで火花から電話がかかって来た。



 



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