第98節 奇襲 (侵犯編6)

彩羅を初め、5人は納得してくれた様だ。

 「それに付け足すとすれば、お前らは奴等の最高幹部に相当する実力があると俺は思っている。」

俺の言葉を聞き、5人は少し嬉しそうな反応をしている。

 翌日。

俺達は帰り道の確認を兼ねて緑地駅に来ていた。

 「ここが緑地駅…意外と大きいのね。」

「この公園に直結している駅だからな。」

「ですが、その割にには人が少ないですね…」

「彩羅…お前は何と比べて言っているんだ…?」

「新宿駅ですが…」

「そりゃあ、新宿とか都心と比べれば少ないだろうよ。それに、ここは路線が被っている訳ではないしな。」

「そうなんですね…」

「…っ!」

「どうしたの⁈」

「誰か知らんが、俺達を狙っている様だ」

「そこに落ちている物を見ればわかるだろう…⁈」

 「これは、銃弾…!」

「本当なの…?彩羅⁈」

「はい、間違いありません。」

「俺は悪意のある気配を感知していたから

避けることが出来たが、これが超人でなければ即死しかねないな。」

「確かに…そうですね。これは見たところ長さが5センチくらいはありそうですからね…」

 「…く、くそ…」

と、小さく呟き20代前半くらいの女が姿を見せた。

 「俺達を殺したいなら、もっと腕を磨いておくべきだったな…。」

「その通りね。それも、奇襲を仕掛けるなら、尚更…。」

「ほう…まだやる気か…。」

「当然だ…、私はあの方のご恩に報いなければならんのだ…!」

「そうか…だが、その願いは叶わない」

「何だと…」

 「何故なら、お前は俺の新たな技の条件に当てはまっているからな…。」

「…ッ、警戒しろとはこういうことだったのですね…」

「夢幻転落〈ドリーム・ダウン〉!」

と照が呟くと襲撃してきた女はその場に倒れてしまった。

「あれ…横になって、全く動かなくなりましたけど…照さん、この人殺してしまいましたか?」

「勘違いするな、俺はこの女を戦闘不能にしただけだ。」

「と言われても…寝ている様にしか見えないのだけれど…。」

「これが、今俺が扱うことのできる唯一の拘束技、無限転落〈ドリーム・ダウン〉だ。」

「どういう技なの?」

「一定の強さ以下且つ、悪意又は殺意を俺達に向けた相手という条件付きだが、その当事者にとって最も良い夢を見せて行動不能にするという技だ…。」

 「成程ね…ということは、私達はその条件に該当しないからさっきの技をくらうということはないのね。」

 「そういうことだ。で、火花早く黒鉄さんに連絡してこの女を別荘に運んでくれと伝えてくれ…。」

 「そ、そうね…。」

先輩は黒鉄さんに連絡して、奇襲してきた女を霞家の別荘に送るように伝えた。

 「よし。それじゃあ、俺達は戻るとするか…」

4人は頷いた。

俺は千癒さんに『今度、東京に来てくれ。あんたの信頼する仲間と一緒に…』と伝えた。

 千癒さんは一言、『分かりました』とだけ返答した。

 



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