第94節 治安悪化 (侵犯編2)

〈カグツチ〉は〈ブースト〉の上位形態である為、全力の〈ブースト〉を長く維持出来る様になれば自ずと〈カグツチ〉のコントロール精度も上がるだろうと俺は考えたからだ。

 この3対1での組手は俺の精度向上と同時に3人のレベルアップも図れるという一石二鳥の修行手段だろう。

 「て、照さん流石に疲れましたよ。もう、3時間ずっと能力を使ったまま組手をしてたので少し休憩させてください。」

 「分かった、お前たちは少し休んでいろ。」

「あ、ありがとうございます。」

「じゃあ、凍士お前はまだいけるよな?」

「勿論、僕は『10貴士』の中で1番師匠との時間が長いんですから。

 まだ、行けますよ!」

俺はこの応答中でも〈ブースト〉はいている、常にこの状態であれば〈カグツチ〉をまた使ったとしても普段は確実に小さくなる。だから、この武舞台の部屋にいる間は

極力〈ブースト〉を維持し続けている。

 2人が休んでいる間も凍士は俺との組手を続けて、気づくと夕方になっていた。

 「じゃあ、そろそろ帰るか…」

「分かりました、そうします。」

そうして、俺たちはそれぞれの家に帰った。

 俺は、さっきの修行法を校庭で珊瑚を殺してから始めた。だから…大体、2ヶ月以上続けた結果、今では〈ブースト〉状態をローリスクで1時間以上維持出来る様になった。

 翌日。

俺は、朝食を食べていた所にあり得ないことが報道されていた。

《昨日、深夜警視庁が襲撃に逢ったとのことです。中に残っていた人の命に別状は無いとのことです。》

 (ついに、奴等がデカいことを起こしたようだな…)

 《襲撃された現場に『我々はこの国をゼロに戻す者である。』と血で書かれた紙が置かれていたとのことです。》

 (普通に考えて、警視庁を襲撃するなんてできない筈だ。」

「奴等は、どうやってゼロに戻すと言うんだ…」

 俺は一抹の不安を抱きながら学校に向かった。

授業は何事も無く終わったが、下校中にちょっとしたアクシデントに逢った。

それは、容姿が少し派手な20代半ばくらいの女が彩羅の首を切ろうとすれ違いざまに襲ってきたが、彩羅はそれを綺麗に避けた。

 今日はこれ意外に花何のアクシデントも無く、俺達3人はそれぞれの帰路に着いた。

 その夜、夢の中にて。

「何をしに来たんだ?理想体の俺。」

「何をしに来たって…、警告だよ。」

「警告?何の…?」

「出来る限りで良い。だから、彩羅とディアの2人から目を話さないで欲しい。」

「もしかして…」

「そう、僕も何か嫌な予感がする。

だから、手の届く範囲にいる2人を危険から出来る限り守って欲しい。」

 「分かった。」

「ありがとう、もう一人のぼく…。」

 こうして、夜が明けた。


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