第85節 成長 (設立編51)

「それじゃあ、その修行の成果ってやらを見せてもらおうじゃねぇか。」

 2人は呼吸を整え、再び顔を上げ、向かい合った。

 「それじゃあ、俺から行かせてもらおう。」

『ドンッ』という音と共に男は火花との距離を一気に詰めて先程と同じパンチを繰り出した。しかし、またも間一髪で先輩が男の攻撃を避けたが、僅かに先輩の左頬を掠めた。そして、そこから出血した。

 「今度は私の番ね。」

火花は熱エネルギーで攻撃力を高めたパンチを男の左横腹に叩き込んだ。

 「良い、パンチじゃねえか。」

「そりゃあ、どうも。」

 ここで警察が学校の校庭に到着した。

「折角ここから楽しくなるところなのによ、邪魔が入ったか…」

「大人しく投降しろ!でなければ発泡する!」

「そうか。なら、さっさと射てよ。」

到着した警察官たちは発砲し男に全弾命中した。

 が、しかし…

「んだよ。鉄砲の弾ってのはこの程度なのか?つまんねぇな。」

 男には一切傷がついていなかった。

強いて言えば、男の服の右胸部のポケットに弾による穴が空いただけだった。

「なっ!一切効いていない!ありえない!心臓を狙ったんだ!死ぬはずだ!」

「これは夢だ!」等と到着した警官たちは現実を受け入れられず現実逃避している。

 「これで分かったか?俺には鉄砲程度じゃあ、掠り傷一つつけられねぇってことが!」

  到着した警官の1人が応援を呼んだ。

「さて、仕切り直そうじゃねぇか!」

「そうね。私もそう思ってたところ」

「よし、決まりだ。」

男はそう言うと、速度を上げて再び殴りかかって来た。

 火花は精神の成長と自身の能力の理解度の上昇によって、照の視力上昇と似たことが出来る様になっていた。

 この窮地に追い詰められたことでそのコントロールが急速に出来るようになってきていた。

 「良い反応速度だ。やはり戦い甲斐がある。」

「今度はこっちの番…、

二重…熱拳〈ツイン・ヒート〉!」

 火花の2倍の熱エネルギーを込めたパンチを男の左前腕に当たった。

 火花のパンチが当たった、左前腕から

『ジユウ……』という音が出ている。

「何だこの音は…。皮膚の内と外からゆっくりやと焼かれているのか…!」

「良く分かったわね、その通りよ。」

「そうか、嬉しい!嬉しいぞっ!お前がこんな技を持っているとはやはり世界は広い!もっとだ!もっと俺を楽しませてくれ…!」

 「楽しい?戦闘が楽しいだなんて…あんたの神経は逝かれているわね!」

 「そうか、逝かれているか…。その言葉は俺にとって唯の褒め言葉だ!」

 「なら、これはどうだ?」

男は自ら破壊した門をバラバラにしたものと2人の教師をぶつけ気絶させた時にできた僅かな体育館の瓦礫を火花の上空10メートルに集めた。

 「瓦礫の嵐〈ラップル・ストーム〉、さあ対象出来るかな?」

(くそっ、避けるしか無い…!)

『 ズドドド…』というか音を立てて瓦礫は全て校庭に突き刺さった。

 「やはりお前は殺り甲斐がある。ここからは更に強くしていくぞ…」

(まだ、強くなるの?大阪のあのお調子者と全く次元の違う…!)

 互いに能力を上乗せした近接戦に移行した。





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