第81節 進展 (設立編47)

(くそっ、少しは落ち着けるかと思ったのに…また治安が悪くなってきた、嫌な予感がする。)

翌日、昼。

 火花先輩から電話がかかって来た。

「先輩、どうしました?」

「知らせたいことが2つあるの。」

「一つ目は?」

「北海道庁と北海道警察本部に同様のことがあったそうよ。」

「やはり、間違いありませんね。」

「ええ、奴等によるものでしょうね。」

「ですよね…。それで二つ目は?」

「二つ目は、別荘の黒鉄から連絡が入ったわ。」

「黒鉄さんはなんて言ってましたか?」

「大阪でクオールと名乗る男がいたでしょう?」

「あぁ、いましたね…。その男がどうかしましたか?」

 「その男から有用な情報を得られたそうよ。」

「本当ですか⁈」

「間違いないわ、黒鉄は仕事に忠実だからね。」

「俺もあの人のことは信用していますが、時世が時世ですからね…」

 「大丈夫よ、あの子が裏切るなんて万に一つもありはしないわ。」

「そうですか。では詳細をお願いします。」

「ええ、黒鉄から聞いた情報は組織のトップはあの男で間違いなさそうよ。

 だけど、基本的に支配しているのは“リバイバー”と呼ばれる3人の最高幹部だそうよ。」

「本当ですか⁈そいつが偽情報を話している可能性は⁈」

「それはないわ。そいつは情報を話す時に恐怖を感じながら話していたそうよ。」

「ということは⁈」

「ええ、事実である可能性が高いわ。」

「そうですか、ならこれは大きな進展ですね。そいつは拠点について何か話していましたか?」

「少しだけ話していたわ」

「それは?」

「さっき3人の最高幹部が支配しているって言ったでしょう?」

「ええ。」

「その3人が其々拠点を持っているらしいわ。」

「そうですか…。他には何か言っていましたか?」

「それ以上は何も言っていなかったわ。」

「そうですか…」

「でも進展したことは確かよ、それもかなりね。」

「ということは本当にあのお調子者の男は幹部の一人だったってことですか?」

 「そうなるわね。」

「因みにあの不良グループは何か言っていましたか?」

「いえ、何も言っていなかったらしいわ。というか、別荘に着いた頃には既に死んでいたそうよ。」

「そうですか、それではこれからも定期的に連絡をとって下さい。」

 「勿論、そのつもりよ。そして、必ず貴方の役に立ってみせるわ。」

 そして、先輩からの電話は切れた。

数日後、3学期の始業式。

 この日、俺は嫌な予感が的中することになる。

 俺は、ホープと彩羅の2人と学校に向かっていた。

 そこで、凍士と昆切が教科書を一緒に拾っているところ遭遇した。

 「何をしているんだ?」

「見てわかりませんか?教科書を拾っているんですよ!」

「仕方ない手伝ってやろう。」

「いえ、必要ありません。こんなことまで師匠に手伝っていただく訳には行きませんから!」

「そうか、じゃあ俺たちは行くがお前達も遅刻するなよ?」

「はい!」






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