第80節 趣味の悪い“プレゼント” (設立編46)

俺は眠りについた。

 夢の中にて。

「俺よ。既に気づいていると思うが、奴等の行動からは目的がいまいち見えない。」

「お前には分からないだろうな、獣の俺。で、今回呼んだ理由はなんだ?」

 (俺はいつももう1人のじゃあ面倒だったので。一応、獣の俺と呼ぶことにした。)

「ああ、そうだったな。ちょっとした、知らせだ。俺とお前が一つになることが出来るようになった。」

 「そうか…。」

「なんだよ、反応が薄いな。つまんねえ」

「何となく、わかっていたことだからな。」

 「そうか、お前の用はそれだけか?」

「ああ、最後に忠告だ。決して油断するなよ。」

「分かっている。」

そして翌日、夜。

 俺が大阪の実家に帰ろうと歩いていたら時。

 悪意ある気配を感知した。

「誰だお前は?」

「まぁ、そう警戒するな。何もしねぇよ」

「そうか?」

俺は警戒レベルを一つ下げて試た。

「本当に隙がねぇな。あの人が俺たちじゃあ、束になっても勝てねえと言った意味がよく分かったぜ。」

 そして、その男はそのまま何処かに去っていった。

 やはり油断出来ないな。

あの男が俺と話している中でも俺を狙撃しようという気配を感じた。

 それからは、特に問題は起きる事なく帰省は終わった。

 俺は家族と東京に戻ってき来た。

その日の昼のニュースでとても人間とは思えない事が報道された。

 《今日未明、警視庁と首相官邸の前に綺麗に解体された遺体に血で『我々は【クリア・ゼロ】と言う。我々はこの腐った国を綺麗な状態に戻し、作り変える者である。』と書かれた手紙が乗せられていたとのことです。》

  奴等、到頭表でも行動をし始めたらしいな…

《警察は手紙と解体された綺麗な遺体を送った犯人逮捕に尽力するとしています。》

 恐らく奴等は都庁等の自治体の施設にも同様のことをしている筈だ。

 夕方、千癒さんから電話がかかってきた。

 「千癒さん、どうしました?」

「お昼のニュース見ましたか?」

「取り敢えず落ち着いて下さい。」

「あ、そうですね。火野くん、お昼のニュースは見ましたか?」

「ええ、見ましたよ。もしかして…」

「ええ、大阪府庁と大阪府警にも同様のことがあったらしいです。」

「やはりそうでしたか…」

「やはり?どういうことですか…?」

「それは今は言えません…。その為には俺達の仲間にならなくてはいけません。」

「そうですか。なら、私も仲間に入れてください!必ず役に立って見せますから!お願いします!」

「では春休みに東京の俺の家に来てください。両親には伝えておくので…」

「分かりました。」

「それから、そっちの方で仲間は増えましたか?」

「沢山ではありませんが、6人程増えましたよ。」

「そうですか…それは幸先が良いですね。それでは春休みを楽しみにしています。」

そして、俺は千癒さんとの電話切った。

 (くそっ、少しは落ち着けるかと思ったのに…また治安が悪くなってきた、嫌な予感がする。)

 

 

 


 


 

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