第71節 知らせ (設立編37)
「勝者、火花さん!」
試合時間は30分だが、かなり厳しい試合だったことは2人のくたびれ方や息遣い何より、一発でわかる程に全身から血が出ている。あらゆるところから少しずつ出血している。普通の人間なら間違いなく入院レベルだろう。無事なのはお二人が超人に“進化”していたからだろう。
これで師匠が一ヶ月もの間意識が回復していたのがどれ程なのかよく分かったことだろう。
「負けたわ。私は彩羅のボディガードを務めるには実力不足みたいね。」
「ディア。貴女は十分、いや彩羅のボディガードを務める実力は十分過ぎる程にあることは分かったわ。」
「それじゃあ…。」
「ええ、合格よ。彩羅のボディガードしっかり頼むわよ!」
「ええ、勿論!分かっていますよ‼︎」
「それじゃあ、お二人共そのボロボロになった運動着から上で着替えてください。」
「さて、今日はこれで解散しようか。」
「そうしましょう。」
この日はこれで解散し、それぞれの家路に着いた。
2人は家に帰ってから、怪我のことを凄く心配されたそうだが、2人があまりにも平然としていたのでそれ以上は何も言われなかったそうだ。
12月18日。改めて、それぞれの役割の確認と先輩の役割、彩羅とホープの役割を決める為に再び武舞台のある部屋に集まっていた。
「それじゃあ、彩羅とホープの役割から決めていこうか。2人は何か希望はあるか?」
「無いわ」
「私もありません」
「そうか、ならそのまま先輩とホープが入れ替わって同じことをしてくれ。彩羅、やることはちゃんとホープに教えてやれよ⁈」
「分かっています。同じミスはしません!」
「そうか、しれじゃあ頼む。先輩は何かやりたいことはありますか?」
「…無いわね。」
「それじゃあ、榴の手伝いをお願いできますか?」
「私は構わないわ」
「榴、お前も構わないか?」
「ああ、構わないよ。」
「そうか、それじゃあ役割の確認に移ろう。先ず、凍士と癒天の2人はこのあたりの地域で仲間集めを行う。」
頷く2人。
「彩羅とホープは幅広く仲間集めをして欲しい。だが、北海道は除外する。」
「どうして?」
「北海道には先輩と彩羅が行った時にひとり仲間が増えた。そして、その北海道の俺たちの仲間が、仲間集めを行っているからな。」
「分かったわ。」
「そしてホープ、お前には先輩、凍士と同じ修行をしてもらう。」
「同時に?」
「そうだ、同時にだ。何をするのかは先輩から聞いてくれ。」
「最後に先輩は榴の手伝いをしてほしいと言いましたが、基本は榴の指示に従って下さい。」
「分かったわ」
「んじゃあ榴、頼むぞ!」
「分かってるよ」
そしてこの日は解散になった。
2日後、夕方・火花の部屋にて。
火花は電話で報告を受けていた。
「…!それは本当なの?」
「分かった、伝えるわ。最後に確認するけど、本当に大丈夫なのね⁈」
「良かった…。ちゃんと伝えるから安心しなさい。」
そして、電話を切った。
火花に安堵と緊張感が同時に押し寄せた。
火花はマズイと思った。
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