第65節 ホープの“試験”2 (設立編31)

「誇ると良い、俺に試合で少しでも実力を発揮させたのだから…」

 「何を言っているの?」

この後、ホープは信じられない光景を目にすることになる。

 「速度特化〈ブースト〉…」とボソりと呟いた。

 「さて、お前は俺に攻撃を当てることが出来るかな?」

ホープは信じられなかった。確かに、10人の女子児童を倒すほど強いとは彩羅から聞いてはいたが、それは4歳の時の出来事である為あてにはしていなかったが、まさかこれ程とは思っていなかった。

 しかも、体からは黄緑のオーラの様なものが見えたが、それだけだ。オーラが見えるだけで照の姿はホープには一切見えなかった。しかし、照の攻撃も当たらなかった。

 ホープが直径1.5メートルの半球状のバリアを展開していたからだ。それは柔らかく照のスピードに乗った蹴りや殴りなどの攻撃はいなされ、無効化されていたためホープには当たらなかったのだ。

 ここで痺れを切らしたのか、ホープが球状のバリアを解き、攻撃を仕掛けた。

 それが、決め手となった。

焦りとは拮抗している闘いにおいて最も致命的なミスである。

 攻撃にシフトしたことに気づかない照ではない。

 〈タイプ:ブースト〉を解き、急速に速度を落とし、驚愕の顔をホープが見せた瞬間に連続パンチをホープの体に叩き込み、場外に落とした。

 「勝者、照!」

「ふう、勝てた…」

「負けた、これで決心できたわ!わたしを仲間に入れて!というか、貴方の弟子にして!」

「は⁈ホープ、お前いきなり何を言っているんだ?」

「何って…言った通りよ。貴方の弟子にして欲しいの!」

 「いや、だからいきなりそんなこと言われても…(でもまぁ、凍士の時も結局弟子入りを認めてしまったからな…仕方ない認めるか…)分かった、認めよう。その代わり条件がある。先輩と同様に学校の時登下校を含めて“様”や“殿”等上下関係がバレるような呼び方はやめてくれ。これが認められるなら、弟子入りを認める。」

 「分かったわ、それくらい認めるわ。初めから敬語なんて使うつもりもなかったし…」

 「そうか、なら決まりだ。ホープお前はこれから俺の弟子だ。そして、凍士の兄妹弟子だ!良いな!」

「分かったわ、強くなる為ならこれくらい余裕よ!」

 「さてと。上に移動して紹介しないとな…」

こうして俺たちは2階のリビングに移動を開始した。

 ホープと彩羅は暫く2人で地下の武舞台のある部屋で会話していた。

 「彩羅。貴方いくら何でもあいつは、火野くんは規模が違いすぎるわ。」

「そういう意味も込めて私の体験を話したのに…」

「いや、だって10年以上前のことだからあてにできないでしょう?」

「それで、さっき決心したって言ってたけど、何を決心したの?」

「それは後で話すから…」

「分かった」

 一方、照たちは2人が来るまで上で雑談を楽しんでいた…




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