第60節 尾行 (設立編26)

2人の美少女転校生の登場でかなり盛り上がっていた教室内も取り敢えず担任の説明を聞ける程度にまで落ち着いた。

 これが、小学校と中学校の違いなのだと痛感した。

 しかし、授業意外の全ての時間は2人への質問時間に充てられていた。

 無論。俺を心配して話しかけてくれるクラスメイトもいたが、基本は女子が多かった。何故かは分からんが、多分何かしらの良からぬ腹づもりでもしていたのだろう。

 というのも、俺は男よりも女により不信感を抱いていたからだ。

 何故なら、男の場合は直接的ないじめの場合が多い。俺が良い例だろう、あの時の俺に対して痛めつけるようなまさに“いじめ”という感じだったからだ。

 しかし、女の場合はさらに酷い。

それは男より陰湿でしかも暴行を加えるのも制服で隠れるところを攻撃する。

 しかもそれを人目につきにくいところでやっているということを火花先輩を虐めていた百合たちを見て実感したからだ。

 なので、俺はそもそも人間不信に近いところがあったが、より女性不審になった。

 なので、女生徒が俺を心配してくれるのは俺が通院から開けた時に俺に雑用をさせようとしていると思っていたからだ。

 実際はシンプルに心配しているだけだろうにそういう風に思ってしまっていた。

 この日、学校中が2人の美少女転校生の話で持ちきりになったらしい。なんなら、地域中に美少女転校生2人の話は広がったらしい。

 放課後。

「彩羅、今日は落ち着かなかっただろう?」

「はい、全く落ち着けませんでしたよ」

「だろうな…。ん⁈ちょっと待て。」

「照さん?どうしたんですか⁈」

「誰だ!出て来い‼︎」

(気配からして悪意のある者ではないことは間違いなさそうだが…どうなんだ⁈)

 気配の主は出てこない…

「誰だか知らんが早く出て来い‼︎」

「チッ、やっぱりバレてたのね…」

「ディア、貴方だったのね」

「何?彩羅貴女も私のこと、勘づいていたの?」

 「いや、私は気づいていなかったわ」

「そうなのね。それで照、貴方は何故私が尾行していることに気づいたの?」

「俺はある男との戦闘の時に無茶をしてな…」

「それと私の尾行に気づいたことに何の関係があるの?」

 「まぁ、話の続きを聞けよ。」

「分かった…」

「それでその後、無茶をした反動で入院することになった。そしてその間宿題以外の時間は全て精神トレーニングに充てた結果僅かな空気の乱れなどで人の気配を感知出来るようになったからな。」

「成程。私の尾行に気づいたのはその精神トレーニングの結果というわけね。」

 「そうだ。納得できたか?」

「ええ、納得できたわ」

「そうか。それで、何で尾行なんてしようと思ったんだ?」

 (まさか、奴等からの刺客か?それともまた別の敵なのか?どちらにしても警戒すべきだな。俺の探知のレベルが低いのもあるだろうが、僅かしか気配を感じなかったからな)



 

 

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