第59節 暗殺と新顔 (設立編25)

9月上旬。鉱己が北海道に帰りしばらく経ったある日の夜。

 (ッこれは、毒か!奴等の手の者が毒を盛ったのか。しかも、水にそれを混ぜるとは…しょうもないことを。)

  この日はこれ以外に暗殺をしようともしてくることは無かった…。

 翌日、昼。

今度は容姿が彩羅と同じくらいの少女が気配を消して、襲ってきた。

 「はあ、またか…」

昼食には俺を体調不良にしようと画策。

 奴等は何としても俺を殺して自分達の目的を達成したいようだな。

 この日から3週間。毎日暗殺をしようと刺客を送ってきたり、敢えて調理が完璧でない物を食べさせようとしたり、兎に角俺を暗殺する為に色々と画策していたようだが、3週間後。遂に自分達ではどう足掻いても俺を暗殺することは難しいと思ったのか。この日以降、俺は誰かに命を狙われるということは退院するまでなかった。

 11月中旬。俺は退院した。

病院側も安堵したことだろう。俺がいると色々な面倒が起こるのだから。

 例えば、俺の食事のメニューが突然別の物に変わっていたり、敷地内に関係のない者が入ってきたりと面倒ごとが多くあっただろうからな。

 翌日、俺は学校へ復帰した。

この日は転校生が来る日らしい、こんなイベントは小学校低学年以来、6〜7年ぶりのことでとてもテンションが上がった。

 しかし、一人は知っていた。というのも、本人から入院中にお見舞いのついでに転校の手続きをしていると聞かされていたらだ。

 それは…

「よし、入って来て良いぞ。じゃあ、自己紹介を…」

「皆さん、初めまして。私は白峰彩羅(しらみねさら)と言います。呼び方はそちらで決めてください、これから宜しくお願いします。」

 俺はこの時初めて彩羅が同学年だと知った。というのも、中学生とはいえ、女性に歳を聞くのはマズイと思ったので聞くに聞けなかったのだ。

そして、もう1人。その子は俺も知らない、完全な新顔だ。

 容姿はアメリカとヨーロッパのハーフのような感じで彩羅とはまた違った美少女という感じだ。

 「皆さん初めまして。ブローディア・ホープです。先程の彩羅と同じく呼び方はそちらで決めてもらえれば良いので、これから宜しくお願いします。」

(ホープ=希望…か。こいつが俺たちの仲間になってくれれば心強いが…そううまくは行かんよな…。)

 ブローディア・ホープと名乗った美少女は教室中を品定めするようにゆっくりと見回すと俺のところで目線を止めた。

 が、その後2人はクラスメイトたちに質問攻めにあった。

 俺が真意を確かめる隙は一切なかった。

 「お前達、転校生が来て浮かれるのは分かるが、今はホームルーム中だ。全員自分の席に着け。先ず、ホープお前の席は窓際三列目の後ろから二つ目の席だ。」

「分かりました」

そしてホープと呼ばれた美少女は自分の先に着いた。

「そして…白峰お前の席は……おっ、丁度照の隣の席が空いているな。しばらくの間、照のサポート宜しく頼む。」

 「はい、勿論です。私は火野くんとはここに来る前から知り合いですから…。」

「そ、そうか。よろしく頼むぞ。」

彩羅はそうして俺の隣の席に着いた。


  

 

 



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