第58節 “正義” (設立編24)
「それでどう返したんだ?」
「僕はそんなことは望んでいないと…」
「しかし、そのタイプはしつこいだろう?」
「はい、しつこかったです…。何で分かるんですか?」
「俺が最初に助けた奴がしつこく弟子にしてくれと言われたらからな。」
「成程。その通りです、その人たちは引き下がらず『何か出来るはないか⁈』と僕に聞いて来ました。なのでその人たちに事情を説明し仲間集めを手伝って貰うことにしました。」
「成程。理解した。しかし、お前が何故カツアゲに逢うようになったのかの説明もしてくれ」
「分かりました。僕は元々内気だったのですが、その…さっき僕の下に就きたいと言った不良たちが小学校低学年くらいの男の子をいじめているところに居合わせて勇気を出して『いじめなんてやめた方がいいよ』と言ったのが始まりではないかと思っています。」
「それは、正義感か?それともまた違う何か?」
「正義感からです…」
「その結果お前はどうなった?」
「カツアゲに逢い、いじめられるようになりました。」
「それが“現実”だ。どんなに正義感に燃えていても“実力”が無ければそれは“ごっこ”止まりだ。」
「まさか、火花さんを助けたというのは…」
「ああ、俺だ。」
「やはり!貴方に会えただけでこちらに来てよかった…」
「そうか?俺は事実を言っただけなのだが…」
「それでも、僕には希望になります!」
「そうなのか…?」
「はい!その…差し支えなければ照さんが火花さんを助けた時のことを教えて頂けるでしょうか⁈」
「分かった、話そう。しかし、ちょっと待ってくれるか?」
「2人は下の階でお茶でもしてきたらどうだ⁈2人で話したいこともあるだろうからな」
「分かりました。そうしましょう…」
「…分かった」
2人は病室を出て、下の階に向かった。
2人はやはり良く俺の意図を汲みとってくれる。とてもありがたい。凍士にも見習って欲しい。
「もう、良いと思いますが…」
「いや、まだだ!」
しばらく経って…俺はケータイを見た。
監視していた敵を捕まえたとメールが送られて来た。これから警察に突き出すとも書いてあった。
「よし、それじゃあ。話すとしよう…」
俺は先輩を助けた時のことを一切ばかす事なく話した。この話の何処に感動するシーンがあるのか分からないが、鉱己は涙を流していた。俺的には胸糞悪い話だとするとし、少し刺激的な話でもあると思うのに何故泣いているのか理解できなかった…。
「悪いが、それほど泣くシーンは無かったと思うが…」
「…すみませんっ!ただ力試しがしたかったから何て…カッコ良くて感服してしまいました。」
「感服のあまり泣いてしまったと…?」
「はい」
「そうか。それで俺の言った意味は分かったか⁈」
「はい!」
「そうか、なら良い。」
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