第54節 榴の後悔と恐怖  (設立編20)

「凍士あの男のことは取り敢えず大丈夫だ」

「何故ですか?」

「簡単な話だ。あの男は俺が命懸けで追い詰めた。しかも、表面のダメージは癒えても暫くは動けないはずだからな」

 「暫く?それはどらくらいですか…?」

「そうだな…最低3ヶ月はダメージで動けないだろう。凍士言いたいことは分かるな⁈」

「はい。だから速やかに組織を完成させろということですね」

「そうだ、頼むぞ。そして、榴。俺たちの仲間になってくれないか?」

「良いのか?僕が裏切るかもしれないだろう⁈」

「大丈夫だ。お前は信用出来る、だから頼んでいるんだ。」

「それで君たちに恩返しが出来るのか?」

 「勿論だ!そんなに不安なのか?」

「ああ。僕は罪をも受け入れる覚悟をした。が!だからこそ、今度は自分がやられるんじゃあないかと不安なんだ…」

「なるほどな…だが、それは皆持っているものだ。それに今は治安が悪いから尚更不安になる。けど!だからこそ!前を向かなければならない!それは分かるだろう?」

「勿論、分かっているさ。けど!踏み込めない、躊躇う自分がいるのも事実なんだ!」

「なら、俺の方法を試してみないか⁈」

「俺の方法?何か良い方法があるのか⁈」

「良い方法かは分からん。が、試す価値はあると思うぞ」

 「分かった!試してみるよ」

「お前ならそう言ってくれると思っていたぞ!」

「そうか。なら早速その方法というのを教えてくれ!」

「分かった。が、先に凍士お前は帰っていろ。」

「何故ですか⁈」

「お前には既に教えていることだからな。それに、お前はまだ小学生だ。毎回口実を考えるのも大変だろう⁈」

「それはそうですが…、それでもやっぱりこの場にいたいのです!」

「お前の気持ちはありがたいが、ここからは俺がすべきことだ。それにお前には任務を与えただろう?」

「…ッ、そうでした!では師匠!あとは頼みます‼︎」

「任せとけ‼︎」

凍士は病室から退室した…

 「ふぅ、すまん。少し騒がしくなってしまったな…。」

「そんなことはない…。君と凍士くんの会話を見て寧ろ落ち着いたよ。」

「そうか?なら良いんだが…。さて、話を戻すか」

「そうだな」

「お前に俺の方法を教えるって話をしていたよな⁈」

「ああ、そうだ」

「俺が少し特殊ってことは言ったよな?」

「ああ、聞いている」

「それと、これが成功すればお前も“能力持ち”になれる筈だ!」

「その方法ってのは…?」

 「それをこれから話すんだろ」

「そうか…すまん、興奮してしまった」

「まあ、落ち着いてくれたなら良い。お前は自分の“芯”を見つければ、そのお前のもやもやも晴れるかもな…」

「“芯”…どういうことだ?」

「まぁ、そういう反応になるよな。お前自身の考えの軸だったり行動理念を見つけることだ」

「成程、それを見つければ何か見えるかも知れないってことか…」

「そうだ」


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