第51節 “リバイバー” (設立編17)

照が大きな負荷を伴ったパワーアップをしたことで男と女の弐人をどうにか撤退させることに成功した。

 男は全身から出血しているが、進化を果たしたことで気絶で済んでいる。

 女は元の大きさに戻った男を抱えながら歩いていた。照にワンパンで倒されたことで男程のダメージは負っていなかった。が、女は他の人間より回復力が高かったので歩くくらいはできたのだ。しかし、女は男に対する申し訳なさと羞恥心で狂いそうになっているのを必死に堪えていた。

 (このお方はいずれこの国を変えるお方。なのにあの男の攻撃一発で動けなくなるなんて…!醜態だわ…!)

ここで気絶していた男の意識が回復した。

 「ネモ、もう抱かなくて良い。僕も歩くくらいはできる。」

 「申し訳ありません!私の実力が不足しているせいで…!」

「そう思うなら、“リバイバー”の自覚を持て。そしてより一層努力しろ!」

「はい!」

「ネモ、他の“リバイバー”を召集しろ!」

「承知しました!」

弐人は数日かけ自分たちの拠点に戻った。

 さらに数日後。

「今日、お前たち3人を集めた理由はネモから聞いていると思うが計画の一部変更をせざるを得なくなった。」

「ボス、俺は信じられねえ‼︎その男がぶっ倒れる程のリスクを冒して力を引き出したとしても全身から出血するほどのダメージを与えることのできる人間がいるなんてよ‼︎」

「だが、事実なのだから仕方あるまい。それに今もお前たちと会話しているが、傷が癒えているだけで動くことは難しい。」

「だったら、その男を先に始末すれば良いだけじゃあねぇのか⁈」

「オレも“珊瑚”の意見に賛成だね。そいつがどれ程の強さか知らないが、オレたち最高幹部が協力すれば勝てるはずだ!」

「普段はネモと同様に冷静だというのに何を焦っているんだ、ケイジュ?」

 「そうだな…すまない、ボス」

「さて、話を進めよう。まず、あの男を君たちが倒すことは非常に困難だろう」

「何故だい?ボス」

「それは簡単だよ、ネモは戦闘が得意なタイプではないがあの男の攻撃一発で気絶させられてしまったからね」

「そうなのかネモ?」

 「残念だけど、事実よ」

「そうか、ボスはつまり俺たちにはそいつの始末は出来ねぇって言いたい訳だろ⁈」

「そういうこと」

「ボス、あんたはその男のことを警戒しすぎだ。1人だったからワンパンさせられたんじゃあねぇのか?」

「珊瑚、君は君たちリバイバーが協力すれば勝てると思っているのかい?」

 「そうだ、何よりその男は今病院だろ?つまり、入院するほど弱っているんだ負けるはずがない!」

「はあ。珊瑚、君の考えは最もだ。しかし、それはあの男には通用しない。」

「どういうことだ⁈」

「そのままの意味さ。あの男は君たちが協力すればどうにかなるレベルではないということだよ。」






 

 

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