芯覚者-神と呼ばれた男-

第49節 能力説明と確認 (設立編15)

「そうね、ありがとう。忘れていたわ」

　「癒天、君が自分の能力の説明をしてくれるのか？」

「はい、私の能力は“治癒”で。どんな傷でも治すことができます。これは私自身も同様です。が、死んだ人間や物には効きませんし、私自身は一切の攻撃能力がありません。なので戦闘能力は普通の人間レベルです。」

　「成程、ありがとう。癒天。しかし、凍士お前の要件はそれだけじゃあないだろ？」

「やはり分かっていましたか…」

「お前は初めて会った時に弟子入りを懇願してきたやつだからな。ただ人を紹介するためだけにわざわざここまで来るはずがないからな」

　「実は師匠に確認して欲しいことがあるのです」

「なんだ？」

「電話した際にも報告させていただいたんですけど、その暴走した男子中学生の意識が回復する際に体から薄紫の煙が出ていたのですが、それはあの男たちによって与えられた力ということでしょうか？」

「そうだろうな。しかし、薄紫ということはあの男のサポートをしていたあの女から与えられた物だろう。」

「というと？」

「あの男から直接力を与えられていた場合、もやの色が黒なんだ」

「成程、ありがとうございます。」

「すみません、照さん貴方たちが作ろうととしている組織に入れさせていただけませんか？」

「急にどうしたんだ？」

「そのお礼は言わせていただきましたが、恩返しがしたいというのはまた別なので貴方の組織で貴方の為に尽くしたいんです。」

「だがまぁ、丁度良い。俺たちにもサポートが欲しいと思っていたところなんだ。」

「それじゃあ…」

「ああ、君の加入を認める。」

「ありがとうございます！」

「それじゃあ早速だけど。癒天、君には凍士と一緒に仲間集めをして欲しい。頼めるか⁈」

「もちろん、お引き受けします！」

「そうか、ならよかった。それじゃあ凍士のサポート宜しく頼む。」

「はい！」

「凍士一度この病室から離れていてくれないか。」

「…？分かりました」

そうして凍士はこの病室から出て行った。

　「さてと、癒天。君にもう一つ頼みがある。」

「何でしょうか？」

「さっき、凍士のサポートをして欲しいと言っただろう？」

「はい、そう言っていましたね」

「同時にあいつのブレーキになってくれないか」

「何故ですか、あいつは既にかなり貴方の役に立っていると思うのですが…」

　「あいつは俺の為なら自殺さえ躊躇わずに実行する可能性がある。何より行き過ぎた思いは自らを苦しめる。」

「分かりました。そうならないようあいつを監視していれば宜しいのですね？」

　「そうだ、よろしく頼む」

「分かりました。こちらもお引き受けします！」

　俺は凍士に病室に戻って来るよう電話をして入れた。

　すると…速攻で来た。

「師匠、癒天との話は終わりましたか？」

「ああ、終わったぞ」

こういうところがこいつの怖いところだ。

　まるで俺の思考を読んでいるかのような行動を取るから怖いのだ。