第48節 紹介 (設立編14)

僕は榴さんが自我を失い暴走した日から2週間が経過し、約束の日になった。

 これから、師匠が入院している病院に向かうところだ。

 「分かっていると思うが、師匠は入院中だ、それに目立つのは好まれない。言いたいことはわかるだろ⁈」

「だから静かにしていろってことでしょ。分かっているわそれくらいそれにそもそも病院で静かにするなんて当たり前の常識だもの」

「そうなのか…。まぁ、とにかく静かにしてくれるなら良い。」

 癒天は緊張しているようだ。

「大丈夫だ。師匠は優しいお方だ、お前を無下に扱ったりすることはない。」

「…でも、あの時あの人にお礼すら言うことが出来なかったから…」

「言っただろ?師匠は優しいお方だと、あの時はあの場にずっといたら目立ってしまうと思われたから直ぐにあの場から離れられたのだと思う。」

僕の言葉を聞いて安心したのか癒天はその場に座り混んでしまいそうになったところを僕が支えた。

 「おい、もう直ぐ師匠が入院している病院に着くと言うのにそんなんじゃあ師匠と顔を合わせたら天に召されてしまうだろ。

 しっかりしろ!」

「そ、そうね。しっかりしないと…」

「よし、ついたぞ。師匠はこの病院の5階の部屋に入院している。」

2人はエレベーターに乗り5階に上がった。そして…

 「523病室。ここに師匠が入院しておられる、頼むから静かにしてくれよ。」

「分かっているわ」

「なら良い。」

2人はこそこそと病室の前で静かに会話してから病室に入った。

 「師匠、失礼します」

「おう、その子がお前の言っていた子か?」

「はい、そうです!」

「貴方の方が煩いんじゃない…⁈」とこそっと癒天が僕に言ってきた。

 「取り敢えず、師匠紹介します。僕と同じ小学校に通っている女無癒天(めなしゆめ)さんです。」

「初めまして、火野照(ひのしょう)さん。

今、凍士くんに紹介していただいた。女無癒天(めなしゆめ)です。」

 「言われてしまったが、改めて。

火野照(ひのしょう)です。宜しく、癒天さん」

「名指しで良いですよ。照さん、私は貴方に助けられた上に年下ですから…」

「そう?なら今から名指し呼びするけど良いかい?」

「勿論、構いません」

「そう、ならそうさせてもらおう。」

「私は、貴方にずっとお礼を言いたかったんです❗️助けていただきありがとうございます‼️」

「いや、お礼なんて必要ないよ。」

「どうしてですか?」

「ぶっちゃけるとちょうど良かったからね。あの時はまだ凍士が弟子になってから日が浅かったからな。凍士に俺の戦い方を見せる良い機会だと思っただけだよ」

 「それでも、助けていただいたお礼が言いたかったんです‼️」

 「お礼の言葉はありがたくいただくよ」

「癒天、お礼は言えただろう?そろそろ能力の説明を師匠にしてくれないか」

 「そうね、ありがとう。忘れていたわ」






 

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