第45節 凍士の仲間集め3 (設立編11)

この時女の子が一度逃げてから30分が経過していた。

「今、危険な状況なんだ!さっさと戻れ!」

 「それでも!何か役に立ちたいの!」

「だったら、尚更ここから離れろ!」

 「…ッ、分かった!」

女の子はこの場から今一度去って行った。

 「ふう、では始めますね。」

凍士は集中して感覚を研ぎ澄まし、作った氷壁をレンガでできている公園の壁にぶつけて、レンガの壁と氷壁で挟み込み痛みで意識を取り戻そうとした。

 しかし、意識は戻らなかった。が、ダメージは受けているようだった。次に、氷壁を解いて、自分に氷の鎧を身に纏った。

 獣のようになってしまった男子中学生はまだダメージから回復できていないようだ。

 凍士は両拳に厚さ2センチ程度の氷を纏った連続パンチを叩き込んだ。

 すると、体から薄紫の煙が出ていった。

(これは、火花さんに聞いていたことに近いな…だが、色が薄紫ということは、首領らしい男が与えた物ではなさそうだな…まあ、収穫ありというところだな。)

 「ありがとう、俺たちの仲間を助けてくれて」

「その感謝は受け取りますが、約束は守ってくださいよ⁈」

「あぁ、勿論だ。俺たちは恩を仇で返す程腐ってはいない!」

 この場かは離れていた女の子が再び戻って来た。

 「もう終わりましたか?」

「はい、先程終わりましたよ」

「良かった…」

「ごめん、俺たちが悪かった。」

「貴方達が私にしたことは一生消えることの無い事実です。それを噛み締めて下さい。」

「勿論」

ここで意識を無くして暴走していた男子中学生が意識を取り戻した。

 「僕は一体何を⁈」

「お前、自分が何をしたのか覚えていないのか?」

 「うん」

「分かってはいたが、やはり覚えていないか…」

「何⁈僕は何をしていたの?」

「いや、覚えていないなら良いんだ。だが、この女の子にしたことは覚えているよな?」

「うん。本当に申し訳ない、どうすれば君は満足してくれる?」

「私自身は特にないですけど、この人の要望を叶えてくれませんか?」

「本当にそんなことで良いの?」

「はい、それで私は満足ですから」

「分かった、そういうことなら。」

そして、暴走していた男子中学生は僕の方に向き直った。

「僕の名前は石上榴(いしがみりゅう)、君の名前は?」

「僕の名前は氷川凍士(ひかわとうじ)です。」

「そうか、じゃあ君の要望を言ってくれないか?」

「そうですね。先に言っておきますが、これは榴さん1人だけではなく5人の仲間も一緒ですけど…構わないですか?」

「勿論」

榴の仲間5人も頷いている。

 「分かりました。しかし、僕の要望は少し、いや、かなり危険なものですが構わないですか?」

「勿論!」

榴の仲間5人も頷いている。

 「分かりました。では言わせていただきます。僕の師匠からある組織に対抗する為の組織を作って欲しいという任務を与えられているのでそれを手伝ってくれませんか?」

「そんなことで良いのか?とても危険があるとは思えないが…」

「いえ。こっちの方が優先度が高くて危険が大きいのですが、貴方たちの最も辛い過去と向き合って欲しいのです。」


 



 


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