第44節 凍士の仲間集め2 (設立編10)

「そう、じゃあそうするよ」

 中学生グループの内の1人の様子が少し変わっていた。

 というのも、見た目一切変わっていない。何かに苦しんでいる様子もない、しかし、男子中学生の意識が弱くなっているように凍士は感じた。

 同時に凍士は何か嫌な予感がした。

「君は今すぐ、ここから離れたほうがいい!何か嫌な予感がする!」

「えっ?」

「とにかく!早くこの場から離れるんだ!」

「は、はい!」

女子児童はこの場から離れた。

  次の瞬間様子が少し変わっていた男子中学生の様子が段々可笑しくなり、まるで戦闘狂のような、獣ようななんとも言えない雰囲気で暴れ始めた。

 一緒にいた仲間の男子中学生達を襲い始めた。

 暴れている本人に意識はないようだ、見た感じは見境のない猛獣のように元に戻そうとする仲間たちに暴行を加えている。

 やはり、何かの支配に対して抵抗することができなくなったのだろう。

「お前、どうしちゃったんだよ!」

「そうだ、お前元に戻れよ!おい!聞こえるか⁉︎」

「チッ、仕方ない。力ずくで元に戻すぞ!」

暴れている男子中学生の仲間数人が協力して意識を取り戻そうとしている。

だが、効果はないようだ。

 「先輩達少し休んでいてください、この人を元に戻すのは僕がやりますから」

「は?何を言ってやがる、お前はまだ小学生だろ!俺たちが5人がかりでしかも協力しても敵わないんだぞ!お前に敵うわけがないだろ!」

「それは、僕の実力を見てから言ってもらえますか?」

「…ッ。分かった、任せる。情けないが、俺たちにはこいつを止めることが出来る力が無ぇ。頼む、こいつを元に戻してやってくれ!」

「ウガァァァァァ‼︎‼︎‼︎」

凍士は意識を失い、獣になってしまった男子中学生の右拳でのパンチを厚さ20センチ、大きさ40センチの氷壁で防ぎながら、仲間の男子中学生たちの要望に返答とお願いをした。

 「分かりました、引き受けましょう。代わりに僕も貴方たちにお願いがあります」

「その前にこの氷壁は壊れないのか?」

「大丈夫ですよ、凶暴化しているとはいえ大きくパワーアップしているわけではないみたいなので、僕がこの壁の厚さをもう少し薄くしていたら破られていたかもしれませんが、問題ありません。これは僕の“能力”なので僕の意志で操作できます。」

「そ、そうか。よく分からんが取り敢えず安全であることは理解した。それでお願いってのは?」

「先ず、これから何があっても僕を恨まないで下さい。次にこれが終わったらあの女の子に謝ってください。最後にこれが終わった後、ちゃんと元に戻ったのかを貴方たちの中の誰でも良いし、全員でも良い、確認してください。良いですね?」

 「分かった、約束しよう。」

「では成立ということで、…⁈」

何かが戻って来た気配を凍士は感じた。そこには自分が強く逃げるよう言って、逃げた筈の女の子がいた。

 「何故、戻って来た!」

「もう、終わっているかと思って…」

この時女の子が一度逃げてから30分が経過していた。

 








 

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