第34節 経緯と報告 (少年期34)
「そうか、お前も後悔しているようだな。
しかし、今は病院に着いてからのことをおしえてくれ。」
「そうですね、すみません。先ず、僕は火花さんに電話で経緯と師匠の危険を伴ったパワーアップとその反動による大量出血で倒れたことと病院に搬送されることを聞きました。」
俺は静かに凍士の説明を聞いている。
「そして、火花さんたちが病院に着いてからもう一度電話で重症病棟に入院したことを聞きまして。直ぐに病院に向かいました。そして、医師の先生に面会を求めましたが『今は命の境を彷徨っている、危険な状態だ。だから面会は出来ない。』と言われたので致し方なくその時は諦めました。
勿論、火花さんたち2人も。しかし、面会が可能になったら教えて貰えるようにお願いをして快諾して頂けました。」
「成程、間違っていないかもしれないな。俺は三途の川を渡りかけていたからな。」
「やはりそうでしたか。そして、僕は面会は叶わずとも毎日学校の帰りや休日には必ず病院に行ってました。それを2週間続けていたある日、医師に状態が安定したから一般病棟に移ることを教えられました。」
「俺は2週間も生死の境を彷徨っていたのか。」
「はい、そうです。そして、師匠が一般病棟に移ってから火花さんと彩羅さんも病院に来るようになりました。特に彩羅さんは支配されていたとはいえ、自分のせいで師匠が命の危機に陥ってしまったとかなり自責の念に苛まれていたみたいですね。」
「そうか、俺の今の状況も生命の危機に陥ったのも彩羅さんの責任ではない。俺は必死になって先輩を守ろうとした結果なのでそんなに自分を責めないでください。」
頷く彩羅さん。そして、相当な自責の念に苛まれていたでだろう彩羅さんはそのままその場にへたり込んでしまった。
「凍士、説明の続きをしてくれ。」
頷く、凍士。
「そして、僕たち3人は毎日お見舞いと師匠の意識が回復するようにずっと祈っていました。その結果、二週間後…」
「俺の意識が回復したって訳だな。」
「はい、そういうことです。」
「では今度は俺がどうやって意識を回復させることができたのかを説明しないといけないな。」
彩羅さんも立ち上がり、三人は真剣な面持ちで俺の顔を見ている。
「一言で言うと凍士・先輩2人のおかげだ。」
俺の言葉を聞き、2人の目は今にも号泣しそうな程に潤んでいる。
「俺が三途の川を渡ろうとしていた時に何かにガッと掴まれたんだ。そして振り返ると凍士お前と先輩が居た。2人が必死に俺を引き留めてくれたんだ。 『あんたはまだ死んではいけない❗️」』『師匠、貴方は僕の実力を認めるまでは死んではいけない‼️』ってね。」
2人は自分たちの祈りが通じていたことを知って、必死になって堪えていたものが溢れ出し、号泣した。
半年後、俺は退院した。
退院しただけで通院しなくてはならないが。
そして退院してから約2年後俺は中学を卒業した。
第一章:少年期完。
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