第33節 経緯と後悔 (少年期33)
「ごめん、彩羅さん。それであの時いじめられていた女の子が彩羅さんでいいんだよね?」
「はい、そうです。それで後日で構わないのでお礼をさせて頂きたいんです‼︎」
「俺はそういうの求めてないんだ。」
「ですが、それでは私は満足出来ません‼︎なので何か恩返しさせて下さい‼︎」
「それは後でお願いします、彩羅さん。
それで、救急車と救急隊員が来るまでのことを教えてもらえますか?」
「そうですね、すみません。私は、救急車と救急隊員が来るまでの間に火花さんにお願いをしていました。」
「 そのお願いの結果が俺に御礼の機会を与えることだったと」
「 そうです、火花さんに照さんへの御礼をする機会を頂けるようにお願いをしました。この時に照さんの名前も聞きました。」
「なるほど、だから俺の名前を知っていたんですね。」
「はい」
「じゃあもう一度私が貴方を病院に連れて行くまでの話の続きをするわね。」
頷く俺。
「彩羅ちゃんに貴方の名前と彩羅ちゃんに御礼の機会を与える約束をしてから貴方と私に起きた事を凍士くんに電話で話したわ。そして凍士くんは電話越しでも分かる程に悔しがっていたわ。『自分も現場に居れば少しは変わったかも知れないのにって…』そして照が私を守る為にかなりの危険を承知の上で取って得た力で男たち2人を撤退させることに成功してたこととその反動によるその時の状態を話したわ。そして救急隊員と一緒に近くの道路に停めていた救急車に私と彩羅ちゃんは乗り込んだの。その中で救急隊員は信じられないという顔をしていたわ。そして『この少年は本当に大量出血で倒れたのかい⁈』私はその問いに頷いたわ。すると救急隊員は、『大量出血で倒れたのに出血跡どころか傷一つついていないなんて、信じられない!」と言っていたわ。そしてそんな会話をしていたら病院に着いたわ。」
「なるほど、それがあの空き地で俺が倒れてから病院に着くまでの経緯ですね。では次は病院に着いてからの経緯を聞かせて頂けませんか?」
「そこから先は僕が説明します。させて下さい‼︎」
「わ、分かった」
「師匠、火花さん申し訳ありませんでした‼︎」
「何を突然謝っているんだ。」
「そうよ、何を突然謝っているの」
「何って僕もその場にいたなら少しは変わっていたかも知れないんですから、その謝罪ですよ。」
「謝罪ってそんな物は必要ない、結果的には誰も死んでいないんだから。」
「それでも、です。形式的にでも必要だと思ったのでさせて頂きました。」
「そうか、お前も後悔しているようだな。しかし、今は病院に着いてからのことを教えてくれ。」
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