第32節 生還と再会 (少年期32)

照の意識が戻ったのだ。

 「照、心配したじゃない❗️もう起きないのかと思ったじゃない‼️」

「本当ですよ‼️僕も火花さんから聞いて驚いたんですよ‼️」

「それは、迷惑を掛けて…しまったみたい…ですね…。」

 俺は先輩の後ろで申し訳なさそうに立っている少女に気が付いた。

 「先輩、何故その少女がここに⁈」

「それも含めて、これから貴方が眠っていた一ヶ月の間に起きた事を説明するわ。」

頷く俺。

 火花先輩と凍士は、俺が意識を無くしてからの一ヶ月の間に起きたことを教えてくれた。

「先ず、あの男を抱えて女があの空き地から去って行ったのは覚えているわね⁈」

頷く俺。

 「この少女はその時に置いて行かれたの」

「そして、ここにいると?」

「ええ、取り敢えずはそれでいいわ。後で経緯は本人から話してもらうから。」

 頷く俺。

「そして、ここからが貴方が意識を無くしてからの話。貴方が大量出血で倒れてから私はすぐに救急車を呼んだわ。

正直流石の貴方でも助からないと思ったわ。そして、救急車と救急隊員が来るまでの話を本人にしてもらうわね。」

そして先輩は、後ろで申し訳なさそうにしている少女を手招きした。

 「私のこと覚えてますか?」

少女は俺に不安そうな顔で俺に問いかけてきた。

 声は非常に綺麗だ。

 「ごめん、覚えてない」

「やっぱりそうですよね…」

 「何処かで会ったかな?」

「小さい頃に貴方に助けてもらいました。」

「そうなの⁈」

「はい、今から10年くらい前にいじめられていたところを助けていただきました。」

「そうか!あの時女児たちにいじめられていた女の子か!」

「良かった…、思い出してくれたみたいで。」

「それで、君の名前は?」

「白峰彩羅(しらみねさら)です。」

「彩羅さんか…綺麗だな。」俺は思わず本人の前でぼそっと思ったことを口走ってしまった。

 彩羅と名乗った少女は照の言葉を聞き、赤面している。

 そして。

「照さん、火花さん達もこの病室にいるので…」

俺はハッとした。

俺はゆっくりと先輩の方に視線をずらした。先輩は呆れていた。

 「照、あんたね今意識が戻ったばかりだってこと分かってる⁈それに今重要な話をしているの分かる⁈」

 「はい、その通りです。」

「確かに彩羅は綺麗よ、この私よりもね。けど、今はそんなことはどうでもいいの‼️口説くなら今度にしなさい‼️最も、貴方がそんなタイプじゃないことは分かってるから思ったことがそのまま口に出ちゃってたんでしょ」

頷く俺。

「やっぱりね、じゃあ話を戻しましょうか。」

「ごめん、彩羅さん。それであの時いじめられていた女の子が彩羅さんでいいんだよね?」

「はい、そうです。それで後日で構わないので御礼をさせて頂きたいんです‼️」

「俺はそういうの求めてないんだ。」

「ですが、それでは私は満足出来ません‼️なので何か恩返しさせて下さい‼️」

 






 

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