第29節 邂逅 (少年期29)
俺ならその少女を助けることができるかもしれないと思った。
翌日。俺は先輩と一緒に学校に向かっていた。そしていつの間にか先輩は、俺の呼び方も君付けから普通に名前で呼ぶようになった。まぁ、家も近所で一年一緒に登下校していれば呼び方くらい変わるだろうとは思う。
放課後。俺と火花先輩それぞれの家に帰った。
俺はこの時何か不吉な予感があった。
俺は夕方、制服から運動着に着替えてから3キロの持久走をしていた。その途中の空き地に気まぐれで寄ることにした。
俺は空き地で少し休憩していた。
そこに先ず同じく持久走をしていた先輩が俺を見つけ、空き地に入ってきた。
「照、貴方ここで何をしているの⁈」
「何って、見ての通り休憩ですよ少しばかりのね。」
「そう…」
と俺と先輩が会話しているところにニュースで言われている2人組が俺と同じくらいの体格の男を連れて俺たち2人のいる空き地に入って来た。
ヤバいと思った。特に男の方からは今の俺でも勝てるかわからない程の力を感じた。だから俺は全力で、「先輩。今すぐ家に帰ってください‼︎ここは危険です‼︎ 今の貴方では間違いなく死にます。早くっっっっ‼︎‼︎‼︎」と逃げるように言った。
先輩もこいつらのヤバさは理解していたようで全速力で家に逃げ帰ろうとしたが、
ニュースで言っていた少女に捕まってしまった。
俺は全力で先輩を助けようとまだ10分程度しか維持出来ない〈カオスアップ〉を使って先輩を助けようとした。
少女の隣にいた女が救出を阻止しようと割って入ってきた。
「貴方に邪魔はさせない。」
「くそっ!急いでるってのに!」
「なら私を倒してからにするのね。」
「チッ!仕方ねぇ‼︎さっさとあんたを片付けさせてもらうっ!!!」
俺はカオスアップしたことで出現した赤紫の鎧に怒りの感情のエネルギーを拳に込めたパンチを避けることさえ出来ない程のスピードで女に喰らわせた。
すると女はその場に倒れ込み、動かなくなった。
俺はそのままのスピードで先輩の下まで行こうとしたが先輩は少女から自力で逃れていた。
なので、そのまま少女の意識を回復させる為に少女の腹筋に喜怒哀楽の"楽"の感情を込めたパンチを少女の腹筋に喰らわせた。すると、予想通り百合の時と同様に出て行ったのだが色は薄紫ではなく黒だった。どうやら、あの男が持っている能力を与えられると力が体から出ていく時に黒いもやが出ていった。
そして、少女から出た黒いもやは男の所へと戻った。
俺は〈カオスアップ〉を解くと先輩に駆け寄り安否確認を行った。
どうやら先輩は生きているようだ。
そして、先輩に話しかけた。
「先輩、大丈夫ですか⁈」
「ハアッ、ハアッ、ハアッ…。どうにかね……。」
「良かった…」
「と言ってもなんとかって感じだったけどね。」
「先輩、分かっていると思いますが逃げることは出来ません。」
「ええ、分かっているわ。だから自分で守れってことでしょ。」
「そうです。」
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