第28節 結果と怪奇事件 (少年期28)

照の体にダメージは見られなかったが、

身体全体から汗が大量に吹き出している。

 恐らく、全力でコントロールした結果なのだろう。それを照の身体を見ることで2人は理解した。

 「師匠、大丈夫ですか⁈」

「照くん大丈夫⁈」

2人が俺に心配そうに話しかけてきた。

 「大丈夫だ、一応な。」

2人は俺の言葉を聞いて安心したのか、武舞台に座りこ込んでしまった。

 「しかし、この混沌融合〈カオスアップ〉は危険すぎる。今の段階では奥の手にしようと思う。」

「私は、照くんに賛成」

「僕は反対です、この力に慣れる為にも奥の手と言わずに使うべきだと思います。」

「貴方、照くんの精神的負担を理解しているでしょう⁈」

  「ええ、分かっています。しかし、だからこそです!だからこそ奥の手ではなく攻撃手段の一つとして使い、その力に肉体的にも、精神的にも慣れるべきですよ‼︎」

「照お前の言いたいことも分かる。しかし、これはコントロールにかなりの精神力を使う。だから今のままではいつ暴走してもおかしくはないんだ!だから奥の手にすると俺は言っているんだ!」

 凍士は理解はしているが、納得は出来ていないようだ。

 「つまり、今のままでは流石に照くんでも暴走の危険があるから頻繁には使えないと言っているのよ。」

 凍士は渋々といった様子ではあったが、納得してくれたようだ。

 3週間後。

《東京都八王子市にて、植物のようになった女性の死体が見つかったとのことです。目撃した人の証言では2人組で20代前半くらいの女が一緒にいた少女に指示を出し、手をかざすと女性が狂い悶え少女が手を離すとバタンと地面に倒れて一切動かなくなったとのことです。》

そんな事があるのか、信じられねぇな。

        ・

少女は10年以上エネルギーが溜まると少年に与えるということを繰り返したが中々少年は進化しなかった。

 しかし、それは負の感情を持った人間があまり捕まらず負の感情のエネルギーを溜めるのに時間がかかった。結果としてまだ少年が進化するだけのエネルギーが溜まっていなかったのだ。

 しかし最近は治安の悪化によって不満等の負のエネルギーを持った人間が多いのでここ3週間くらいは順調に負の感情のエネルギーをテンポよく少年に与えることが出来ている。

 「そろそろ進化出来るかもしれん」と少年も言っていた。

 半年後。

俺と先輩は進級した、義務教育なのだから当然だととも言えば当然なのだが、ここ半年はずっと不気味な怪奇事件が続いている。

 ニュースよると人を動けなくさせる少女は何者かに支配されているらしい。

 つまり、百合のように何者かに力を与えられた少女が自分の意思よりも支配力が上回っているということなのだろう。

 俺ならその少女を助けることができるかもしれない。

 

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