第25節 再戦 (少年期25)

指定の場所に向かうと百合を含めた20人が待っていた。

 しかし、百合と言っていたリーダーの雰囲気が前回から変わっていた。

 まるで何かに取り憑かれたような感じがした。

 「私は、アンタに復讐するために力をつけ敢えてメディアの目に止まる行動を取った。」

「何故だ?何故復讐などという最も無駄なことに労力を費やしたんだ⁈」

「正面から再戦ヲ申し込んだ所でアンタは受けなかっただろう、違うカ?」

「確かにそうかもしれない、だとしても先輩を巻き込む必要は無かったはずだ。」

 「それは簡単なコトダ、アンタを逃げられないようにする為ダ。」

「ふざけているのか⁈」

「ふざけてなどイナイ、大真面目ダ。」

 「なら尚更理解できないし理解したくないな、これ以上喋っていても無駄ださっさと始めよう。」

「ソウシヨウ。」

俺はいきなり前回と同じ状態になった。

 俺は攻撃力強化(最)と視力強化(最)を同時に使用しているこの状態を〈モード:ブレイズ〉と呼んでいる。

 百合は禍々しい雰囲気を高めていく、そして獣の様な威圧感を放っている。

 そして俺と百合の戦いが始まった。

俺はいきなり纏った鎧の虎部分で百合の左肩から右横腹までを切り裂こうとしたが、間一髪で直撃は避けられたが右肩から右胸までを切付け、ダメージを与えることには成功した。

 百合は意識はあるようだが感情に支配され暴走しているようだ。

 暴走していることに気づいた俺は爪での爪撃ではなく脚での蹴撃に切り替えまずは百合の体を動けなくすることにした。

 虎のは消し、鎧の拳に俺の普段から溜め込んでいる感情のエネルギーを拳に込め百合の腹筋に思いっきり叩き込んだ。

 すると体の動きが鈍くなった。

しかし、少しずつ肉体のダメージが回復しているようだ。

 俺は感情エネルギーを込めたパンチを連続で叩きこんだすると流石に動かなくなった。

 百合の体にあった力は薄紫のモヤとして百合の体から離れていった。

 しかし、今度は暴走ではなく百合自身が俺に襲いかかったのだ。

 どうやら俺への復讐自体は百合自身の意思だったようだ。

 「あんたに負けたままじゃみっともなくて、情けないんだよ!」

俺は百合の攻撃を捌きながら百合に問いかけた。

 「俺はお前の相手をして何か得があるのか?」

「何が言いたい?」

「俺はお前の相手をして何かメリットがあるのかと聞いているんだ。」

「…」

「だろうな」

「私はそれどころか貸しを作ってしまったようだ。」

「ではやめるか?」

「それとこれとは別だ。」

「このままでは私のプライドが許さないんだ。」

「では次の一撃で終わりにしよう、二度負ければ納得するだろう。」

 俺は鎧を解き、右拳にさっきまでよりも感情エネルギーを込めて百合にパンチを当てた。百合の体からは腹筋から衝撃が伝わり、全身の骨が砕ける音がした。

 そして、今度こそ完全に動けなくなった百合を6人で少しでも痛みが出ないように支え慎重に警察署まで行き、自主したそうだ。

 

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