第20節 試験結果、そして… (少年期20)

「火花さん、合格です。」 

 先輩はキョトンとしている。

当然だと思ってしまう。

 傍から見れば凍士が突然攻撃をばやめ、

合格だと言ったのだ。

 それに先輩から見れば目の前で突然攻撃をばやめて真顔で合格だと言われたのだから驚くのは無理もないと思う。

 しかし、先輩は意外と直ぐに状況を理解したようだ。

 「凍士、どうして合格にしたんだ?」

「師匠は僕の修行と同時に火花さんの覚悟の確認をしたかったのですよね?」

「そうだ。」

「僕の全速力を加えた蹴りを避けようとしなかった時点で確固たる覚悟があると判断しました。」

 「なるほど、お前に任せて良かった。」

「ありがとうございますっ!」

「ということで、先輩は僕の弟子ということで良いんですよね?」

「ええ、そうよ。」

「ではこれから先輩は俺の弟子です。

しかし、今まで通り接してください。」

「なぜ?」

「シンプルで自分勝手な理由ですが、

俺が目立ちたくないからです。」

「なるほど、わかったわ。」

「理解してもらえたらようでよかったです。」

「ではこれから貴女は俺の弟子になります。」

         ・

時間は1ヶ月と2週間前に遡る。

火花と照がいじめの現場だった公園を去ってから百合は意識を取り戻した。

 携帯の入っている自分の鞄をふらふらと歩きながら取り、携帯の時間をみると既

 午後7時を過ぎていた。

公園の入り口から深々とフードを被った女?がわたしのいるところまだきた。

 ここで取り巻きたちも意識を取り戻し、ふらふらと今にも倒れそうな感じで起き上がった。

 しかし、百合のいるところまで来るほどの余裕は無さそうだ。その場で留まるのが精一杯といった様子だ。

 深々とフードを被った女?が私に問いかけてきた。

 「貴女は復讐したい?あの男子生徒に。」

「何?見てたの?」

「最後だけね。」

「それで?復讐したい?」

「当然!あの男を完膚なきまで人叩き潰さないと気が済まないわ‼︎‼︎」

「そう。それなら力を抜いて与えましょう。」

「その力があればあの男を叩き潰すことが出来るの?」

「それは貴女次第だけど、可能よ。」

「何故そう言い切れるの?」

「あの子はまだ自分の力を完全にコントロール仕切れていないからよ、貴女たちを全員倒した後女生徒等の帰って行ったけどすり足でなんとか自分で帰った感じだったわ。」

「あんたが何者かはこの際どうでも良いわ‼︎あの男を叩き潰す力が手に入るというなら。」

 「それじゃあ力を与える。貴女は耐えられるかな?」

そう言ってフードを深々と被っている女?は右手を私に向けると私の中に何かが流れ込んで来るのを感じた。

 そして女?のようなフードを深々と被った人物はこの公園を去っていった。

 百合は与えられた力を抜いて使い、

自分たちをあったいう間に倒したあの男への復讐を決意したのだ。

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