第19節 火花[ほのか]先輩の試験 (少年期19]

凍士と火はな先輩の試合形式の試験が決定してから時間が経過し、試験当日になった。

 俺と凍士は最早ルーティンになっている筋トレを今日はせず先輩が来るのを待っていた。

 数十分後、先輩がやってきたようだ。

「先輩、念の為に今一度確認しますが、不正はしないですよね?」

 「当然でしょ、何度も鬱陶しいわ。」

「すみません、一応確認はすべきだと思ったので。凍士、準備は出来ているな?」

「はい!もちろんですっ!」

「先輩は?」

「私も準備万端よ。」

「ではこれから説明を始めます、

先ず前回とは違い互いに出血が出るような激しい攻撃はしないでください。」

「分かりましたっ!」

 「了解よ。」

「出血が確認できた場合は俺が直ぐに試合を中断します、宜しいですね?」

「分かりました…」

「了解よ。」

「凍士態度に出ているぞ、今回は試合型式とはいえ試験なんだ。我慢してくれ。」

 凍士は渋々といったかんじだが頷いてくれた。

 「後は前回と同じです、では2人とも武舞台に上がって下さい。」

 2人は部舞台に上がった。

俺は笛を吹いた。そして「ピーッ」という音を立てて合図に火花先輩が仕掛ける。

 因みに凍士には「能力は使うな」と念を押してある。

 あいつは俺に準ずるようだから大丈夫だとは思うが凄く心配だ。

 先輩は凍士の能力を警戒してなのか凍士から見て左サイドから距離を詰め、差は勢いのまま凍士の顔を殴った。

 その後直ぐに先輩は凍士との距離を取った。分かり易いヒットアンドアウェイだ。

 凍士は出血はしていないが威力を殺しきれず少し顔を歪ませている。

 今度は凍士が攻める。

先輩との距離を詰め、能力を使えない為その攻撃力を埋めるために距離を詰めたスピードと体の捻りを加えたパンチを先輩の左横腹に喰らわせようとしたが先輩が間一髪避けパンチは空発に終わった。

 凍しは拳がだめならと、脚による蹴撃に切り替えてようだ。

 先輩の顔には何としてもという強い決意が感じられた。

 能力を使えば凍士が勝つだろうがそれではトレーニングにならない。

 能力なしの勝負では五分五分といった感じだろうと俺は思っている。

 しかし、実際は先輩が押している。

攻撃は余り当たっていないが凍士の集中力を乱すことはできているようだ。

 そして…先輩のパンチが凍士の腹に決まったのである。

 しかし、まだ油断していない。

やはり先輩はあの後から自分なりに必死に努力してきたのでだろう。

 努力のせて量では俺や凍士には及ばないが、素の力では凍士を上回っているようだ。

 先輩は伝承の通りであれば確実に“超人”

に進化する事のできる器があるだろう。

 凍士は己の身体を低くし、前傾姿勢になった。そして凍士は全力で走り先輩との距離を詰め、その体制、その勢いのまま凍士花先輩に蹴りを加えようとしてところで凍士は攻めをやめた。

 「火花さん、合格です。」

先輩はキョトンとしている。

 

 

 

 

 



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