第18節 続・答え合わせと人間の壁(少年期18)

凍士の説明を聞いて俺は納得した、そして先輩たちも納得したようだ。

「最後の攻撃は、さっき説明した移動方法によるスピードを、拳に薄い氷の膜を纏わせたパンチに加えたものです。」

「つまり、君のパンチに能力とスピードを上乗せした攻撃ということね。」

「はい」

「先輩、黒鉄さん、火駱君納得して頂けましたか?」

「ええ。」

「同じく」

 「うん!」

「それなら良かった。」

 「丁度良いわ。」

「何がですか?」

 「照くん。凍士くんがあれほど強いのも貴方の指導が上手いからでしょう?」

「違います、こいつは単純に才能があっただけです。」

「だとしてもよ‼︎貴方の下で修行を積めば、“人間の壁”を超えられるかも知れない!!!」

「ちょっと待ってください、先輩は実践経験ありますか?」

「無いわ。」

「ですよね、それに“人間の壁”って…」

「そうよね、先ずはその説明をしないといけないわね。ごめんなさい、興奮してしまったわ。」

「それで、“人間の壁”って何ですか?」

「そうね。昼食の時の話の続きになるんだけど…伝承によれば、自分の中にあるトラウマ級の辛い出来事を乗り越えられると稀に人間から進化して“超人”になることができるらしいわ。」

「乗り越えられないとどうなるんですか?

 「場合によるみたいだけど、最悪トラウマに耐えられず自殺したり、廃人のようになってしまうらしいわ。」

「じゃあなんでそんなリスクを負ってまで俺の下で修行したいんですか⁈」

「私は、もう、誰かに助けられてばかりは嫌なの‼︎‼︎」

「だから俺の下で修行したいと?そんなリスクを負ってまで。」

「そうよ、特にこの黒鉄には助けて貰ってばかりなの。」

「と、先輩は言ってますけど?」

「お嬢様、気にする必要などありません。私が自分の意思でしていることなのですから。」

「だとしてもよ‼︎‼︎」

「では黒鉄さん貴方は先輩が最悪の状況になっても支えますか?」

「当然だ!俺を拾ってくれたのはお嬢様なのだから!その恩を返せるならどんなことでもしよう‼︎」

「分かりました、では試験を行ないましょう。」

「試験?それに合格したら貴方の下で修行出来るの?」

「ええ、二言はありません。」

「なら受けるわ、内容は何?」

「簡単なことです、凍士と試合をして勝つ又は凍士に試合を通じて認められることです。」

「分かったわ。」

「先輩のことなのでないとは思いますが、一応言って起きます。貴女に似た人を戦わせる等不正はしないでください。」

「分かっているわ。それで、日程と場所はどうするのかしら?」

「場所は当然ここです。ここ以外に安全に試合のできる場所があると思いますか?」

「いいえ」

「そういうことです。日程は…そうですね……3週間後の日曜でどうですか?」

 「ええ、それで構わないわ。」

こうして、凍士と火花先輩の試合形式の試験が決定した。





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